問題がなくても自己判断はNG

 どんな症状が出たら婦人科に行くべきですか? と聞くと、「たとえ疑問や不調が何もなくても婦人科に来てほしい」と吉野さん。でも、不調もないのに、何と言って受診していいのか分かりません……。

「そういう人も多いのですが、何も問題がないようでしたら、まず検診に来ていただければいいんです。痛みがひどくなってきてから病院に行っても、病気の予防にはなりません。将来に備え、たとえ気になる症状が特になくても、ぜひ定期的に婦人科に来てください。問題がないことを申し訳なく思う必要なんて全くありませんよ。本当は、初潮を迎えた段階で、まず検診を受けてもらいたいくらいなんです」(吉野さん)

 「初潮を迎えた段階でまず検診」。私たちは自分の体に起こっていることでありながら、長い間生理と正しく向き合わずに放置してしまったようです。生理痛についても、「いつものことだから」と思ってしまいがち。けれど、そもそも「痛い」のは異常事態なのだと吉野さんは言います。

痛みは体からのサインです (C) PIXTA
痛みは体からのサインです (C) PIXTA

「生理痛があることは当たり前ではなく、痛みは体からのサイン。子宮内膜症などの可能性もあるので、自己判断はNGです。人と比べることがない分、正常な生理がどんなものなのか迷うと思いますが、迷ったら病院へ行く、というくらいでいいと思います」(吉野さん)

 不調を感じている人も、そうでない人も、まずは検診を受けることから。安心して相談できる婦人科医を見つけたいですね。

「婦人科は妊娠・出産にまつわることだけの病院ではなく、女性の一生を支える場所。生理が終わっても女性であることが終わるわけではなく、閉経後には閉経後なりにケアが必要になることも多々あります。ぜひかかりつけの婦人科医を見つけて、心と体の健康に役立ててください」(吉野さん)

 不調がなくても婦人科にかかってもいい、迷ったらまず病院に行く、くらいの意識でよかったんですね。次回は「正しい生理とは何か?」をお伝えします。

この人に聞きました
吉野一枝
産婦人科医・臨床心理士
吉野一枝さん
よしの女性診療所院長。高校卒業後、“フリーター”、CM制作会社を経て、32歳で帝京大学医学部入学。著書に「婦人科医が教える 誰にも聞けない生理のお悩み解決法」(彩図社)「40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本」(永岡書店)など

文/小泉なつみ 写真/PIXTA