相手も嫌なことをしてくると思い込んでしまう
ささいなことに対しても大きなクレームをつけるような人間は、自分が小さなミスをしたときにも誰かからひどく責められると思い、ひたすらにごまかしてしまう。
十和子も、自分の都合の悪いところを責められそうになると、必死にごまかしたり、その場から立ち去ってしまうほどの小ささがあります。自分なら相手のミスを許さず、泣かすほど攻めてしまうから、それが今度は自分に来ると思い込んでいるのです。
結局は身動きが取れなくなり自滅する?
十和子のような人間は、一見するとわがままし放題で、日々自分の思った通りに生きているように見えます。ただ周りの人間に支えられ、甘やかされ、生かされているだけの人生なのに、それに気が付く能力がないのです。
まるで自分が年を取らず、永遠に生きていられると勘違いしているようにも見える……
いつまでも続くと思っていた生活に、想像をはるかに超える恐ろしい結末がやってきます。鑑賞後、それでも嫌な女になれたら楽に生きられると思えるでしょうか? ぜひその後味の悪い結末を劇場でご覧ください。
10月28日(土) 新宿バルト9他全国ロードショー
配給:クロックワークス
(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
文/永井勇成