もう無理かも……と決して思わない強靭な心を見せてくれる
そう、「海でサーフィンをしていたら人食いサメに襲われて、助けを呼ぼうにも誰一人いなくて、岸までたった200メートルなのにかまれた脚が言うことを聞いてくれない絶望的な状況」にたとえなったとしても、あきらめてはいけません。
ただ生きたい、死にたくないとわめくのではなく、サメに噛まれ、助けを呼んでも誰もいない現実を受け入れ(P)、泳いで逃げるのではなく、近くの岩礁に避難し(D)、人食いザメの行動パターンを読むという冷静な分析(C)と、生きて岸までたどり着きたいという信念を捨てず、確実な行動(A)をとらなくてはならないのです。
とは言え、海の中での人食いサメは無敵の存在です。人間がどれだけ速く泳いだところで一瞬にして追いつかれます。
……あれ? この映画、もしかしてサメに食べられて終わりなんじゃ?
もう見ていられない。ひと思いに食べられてしまった方が楽だよ……と、見ているこっちの気持ちが折れてしまいそうになります。
でも、ナンシーはあきらめない。むしろ、サメに食べられそうになる度に学び、強くなります。仕事でトラブルが起きるたびに改善する私たちの姿そのものです。
まさかサメ映画でPDCAを回す現場を見ることができるなんて思ってもいませんでしたが、鑑賞後には仕事に対する情熱が強くなることを保証します。
夏の終わりが近づいてきましたが、これを見ずして秋を迎えることはできないですよ。
それではまた。ご存じ、ゆうせいでした。
文/永井勇成