好きなことを諦める必要はない
このジェームスの考え方は、仕事でも大いに生かすことができます。自社製品や自分が扱う製品において、時にプライドが邪魔をしてくることがあります。
その製品そのものがどうこうではなく、それを作った人、関わった人が気に入らないから、いまいち気持ち、身が入らないなんてことが。
でもよく考えたら製品には罪はないわけで、それが素晴らしいものであれば素直に認めて、自分のできることすべてを注力すべきなのです。気持ちの問題と一言で片付けるのは難しいですが、ジェームスを見ていると、なんだか自分のしていることがバカらしくなるから不思議です。
ジェームスは隔離された生活をしていたので、精神的に幼いところがありますが、かえってその幼さこそが前へ進む力になっていたり、大人になるにつれて勝手に身に付けた常識(自主規制)を破る原動力になっている。
また、自分の好きなことに何の迷いもなく突き進むジェームスの姿を見ていると、「大人になったからといって、好きなことは諦めなくてもいい」ことに気付かされます。と同時に、その人の「好きなこと」を、けなしたりばかにしたりする権利は誰にもないのです。
ジェームスは「ブリグズビー・ベア」に対する愛をゆがませず、フィクションとリアルを融合させて、単なるフィクションで終わらせません。そして、彼がそれを超えていく様子は、最高にファンタスティック。好きなものを好きで居続けることのすてきさに気が付いた時、きっとあなたもわくわくした気持ちになっているでしょう。
それではまた。映画カタリストのゆうせいでした。
『ブリグズビー・ベア』
>
提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
配給:カルチャヴィル
(C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.
文/永井勇成