好きなことを諦める必要はない

ジェームスが愛するこの女性の正体とは… (C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.
ジェームスが愛するこの女性の正体とは… (C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.

 このジェームスの考え方は、仕事でも大いに生かすことができます。自社製品や自分が扱う製品において、時にプライドが邪魔をしてくることがあります。

 その製品そのものがどうこうではなく、それを作った人、関わった人が気に入らないから、いまいち気持ち、身が入らないなんてことが。

 でもよく考えたら製品には罪はないわけで、それが素晴らしいものであれば素直に認めて、自分のできることすべてを注力すべきなのです。気持ちの問題と一言で片付けるのは難しいですが、ジェームスを見ていると、なんだか自分のしていることがバカらしくなるから不思議です。

 ジェームスは隔離された生活をしていたので、精神的に幼いところがありますが、かえってその幼さこそが前へ進む力になっていたり、大人になるにつれて勝手に身に付けた常識(自主規制)を破る原動力になっている。

ジェームスと愉快な仲間たち (C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.
ジェームスと愉快な仲間たち (C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.

 また、自分の好きなことに何の迷いもなく突き進むジェームスの姿を見ていると、「大人になったからといって、好きなことは諦めなくてもいい」ことに気付かされます。と同時に、その人の「好きなこと」を、けなしたりばかにしたりする権利は誰にもないのです。

 ジェームスは「ブリグズビー・ベア」に対する愛をゆがませず、フィクションとリアルを融合させて、単なるフィクションで終わらせません。そして、彼がそれを超えていく様子は、最高にファンタスティック。好きなものを好きで居続けることのすてきさに気が付いた時、きっとあなたもわくわくした気持ちになっているでしょう。

 それではまた。映画カタリストのゆうせいでした。

【作品情報】
『ブリグズビー・ベア』
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ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にて公開中
提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
配給:カルチャヴィル
(C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.

文/永井勇成