続いている人はどう管理しているのか?

 家計簿をつける最大の目的は、自分の収支の様子を把握することです。収入に対して支出が上回っていないか? 支出の中で大幅に使い過ぎている費目がないか? を確認できれば、目的の9割以上は達成できます。「10月12日に新宿駅前のコンビニで298円のチョコレートを買った」のような詳細は、ここでは必要ありません。それなのに、この情報を記録するのに手間がかかっていては、重要な目的を達成する前に疲れてしまいます。

 一人暮らしの勤労者の生活費は月に平均で約18万円(2015年度家計調査 家計収支編 単身世帯・勤労者世帯)、2人以上の世帯でも約31万円です。300円程度の支出は、全体の0.1%程度にすぎません。この詳細を厳密に記録することよりも、多少の誤差はあっても、「今月の生活費のうち、日用品は約8千円で約4.5%」のように概況を把握する方がずっと大事です。

 ですから、いろんなものを買ったときには、メインで買ったものに費目をまとめて記録してみましょう。たとえば「チョコレート298円、洗剤198円、ティッシュ238円、シャンプー980円、合計1,714円」のレシートなら、まとめて「日用品1,714円」と記録します。記録は、1レシートにつき1つだけ。こうすると、家計簿を付けるのがぐっと楽になります。

 でも、それでは正確に家計の管理はできないのでは? と不安に思うかもしれません。もちろん、きちんと記録できるときはするに越したことはありません。ただ、大事なのは続けることです。続けられるように、まずは「ハードルを下げてみること」から始めましょう。続くコツはこれです。

 そして、家計を分析するときには、食費、通信費、交際費、被服費など、ほかの費目に比べて金額が大きいものに目星をつけて、その詳細を探っていきましょう。レシートごとにまとめて記録をしていると、家計簿の記録自体は大雑把かもしれません。でも、「9月14日、△△ドラッグストア、日用品、●●円」などと記録してあれば、「なんだか先月はドラッグストアでのお買い物が多かったな」と、おおまかなお買い物の傾向をつかめるはずです。

 傾向をつかめたら、ムダ遣いが潜んでいそうなところについて「ドラッグストアではいつも何を買っているんだろう?」と、細かいことを思い出してみます。「そういえばドラッグストアではいつも化粧品を買ったな」など、何かしらの心当たりが出てくるはずです。記録によって概況をつかみ、記憶によって詳細を分析するというわけです。