お金を貯めることが最大の目的になって、「貯蓄疲れ」していませんか? 働く女性の相談を受けることが多いFPの加藤梨里さんが、これまで受けた相談を紹介しながら、お金やライフプランの課題を解決していく「お金が増える!使い方講座」連載。今回は、「配偶者控除の廃止」について解説します。専業主婦向けの制度ですが、働くシングル女性への影響は一体何があるのでしょうか?

そもそも、配偶者控除ってなに?

 こんにちは。ファイナンシャルプランナーの加藤梨里です。すっかり涼しい日が続き、秋の深まりを感じます。1年が過ぎるのは本当に早いものですね。時の流れを感じると、自分のライフプランも改めて考えねばと思うことがあります。

 そんな折、私たちの働き方を考えさせるニュースが話題になっています。そのひとつが「配偶者控除の廃止」です。配偶者控除というと、おもに専業主婦向けの制度ですから、「私には関係ない」と思う読者の方も多いかもしれません。ですが実は、この廃止の議論は、すべての女性の働き方に大きく影響するのです。

 そこで今回は、配偶者控除が私たちに与える影響について考えてみましょう。

 そもそも配偶者控除とは、所得税・住民税のしくみのひとつです。納税する人に配偶者がいて、配偶者の年収が一定額以下であれば、課税される所得から所得税では38万円、住民税では33万円を差し引けるものです。一般的なのは、主が働いていて、その妻が専業主婦やパートで年収が103万円以下の場合に、主の税金が安くなるというパターンです。安くなる金額は税率によって変わり、たとえば主の年収が500万円で所得税率が10%なら(※1)、3.8万円(38万円×10%)分、所得税が低くなります。また、住民税は多くの自治体で税率10%ですので、3.3万円(33万円×10%)分低くなります。

 ここでいう「配偶者」とは、必ずしも「妻」とは限りません。妻が大黒柱として働いていて、夫が「主夫」である場合にも使えます。一方、内縁関係の人は該当しません。籍は入れていないものの生活を共にしているパートナーがいても、配偶者控除は使えません。

 配偶者控除は1961年に創設され、当時は「夫が働き、妻が家事育児を担う」、いわゆる内助の功のスタイルが一般的でした。いまでは働く女性が増え、家族の形もさまざまになってきましたが、税の面では高度経済成長時代の家庭像が想定されたままになっているわけです。