男には負けない!という意識が薄い

 こういった意識がいかにセーラームーン世代に特有かは、もうひと回り上の世代、一例として団塊ジュニア(1971~75年生まれ)の女性が若い頃に置かれていた状況と比較すると、よく分かります。

 団塊ジュニアの女性たちは、「女性の社会的地位は、基本的に男性より低い」と刷り込まれて育ちました。よって、キャリア志向の強い女性、最前線でバリバリ働きたいと願う女性は、「女“だけど”男には負けない!」「男と肩を並べなければならない!」という気負いなしには、職場で相応のポジションを得ることができなかったのです。前のめりで、ギラギラした野心を帯びた、肩に力が入りまくった気負いです。

 しかし、セーラームーン世代に、そこまでの気負いはありません。男性主体の職場にも自然体で溶け込もうとしますし、ごく当たり前のように前線に出ようとします。肩に力が入っていないのです。

 もちろん、男女の機会均等に関して理解ある企業・職場が増えてきた社会背景は、セーラームーン世代がそのようにふるまえることと、無縁ではないでしょう。

 もうひとつ、セーラームーン世代の特徴として挙げられるのは、職場においてもある種の女性性、いわゆる「女子っぽさ」を捨てないということです。

 これも比較になりますが、かつて団塊ジュニアの女性の多くは「女性性を捨てなければ、男と張り合えない」と考えていました。

 職場で「女性」を出せば、男性社員にナメられる。男に対する“媚び”だと囁かれる。可愛げや遊び心は「仕事の邪魔」と決めつけられ、優しさや思いやりは「女の弱さ」に変換されてしまう。旧時代的な上司に目をつけられれば、昇進にも影響するかもしれない……。

 彼女たちの多くはそんな恐怖感から、男性社員の付け入る隙を与えるまいと、鋼鉄の鎧を着込み、職場での女性性を封印したのです。