「クルマに詳しくないけれど…」弱みが強みになった出来事

――転職当初は、葛藤もあったそうですね。

 もともとクルマに興味はありつつも、詳しくはなかったんです。「広報はすべての質問に答えられなくては」と、必死でクルマの勉強をするものの、周りとの差が一向に埋まらず、苦しい時期が続きました。でも、ある時上司から、「チームで仕事をするのだから、一人で抱え込まず、周りの力を借りればいい」とアドバイスをもらい、気持ちがラクになりましたね。そこからは、メディアの人たちとのコミュニケーションもリラックスしてできるようになりましたし、等身大の自分でいいのだと思うようになりました。 社外と社内をつなぐのが、私たち広報の役割です。車の知識を深めることも大切ですが、それ以上に、「メディアとの信頼関係を築くこと」が一番大切だと気付きました。

――普段はどのようなお仕事を担当されているのですか?

 主に、女性誌を対象としたイベントの企画や運営に携わっています。その企画の段階で、女性誌の編集部の方に簡単なヒアリングを行い、意見をもらうことも多いですね。そもそも女性誌の読者や編集部の方は、そこまでクルマに興味があるわけではないので、等身大の視点をそのまま生かした提案をすることが、「ユーザー目線」に近いのかな、と考えています。どういった形のイベントやタイアップ記事ならクルマに興味を持ってもらえるか、編集部の方たちに意見をもらいながら企画の切り口を考えます。

 例えば、試乗会にしても、女性にとっては「車に乗る」こと自体が一つのハードルになることが多い。ですから、まずはクルマに触れ、「ツールとして便利なんですよ」というメッセージを感じてもらうためのイベントを開催しようと考えました。

 あるショッピングモールの駐車場に新車を置いて、ショッピングモールで買い物を楽しんでいただいた後、車に実際に触れてもらい、使い勝手のよさや荷室の広さなどを体感してもらいました。女性誌の編集者に参加していただいたのですが、参加者の反応も非常によく、直接お話しして意見も伺えるいい機会となりました。

イベントの冒頭でオリエンテーションをする鈴木さん 写真/鈴木さん提供
イベントの冒頭でオリエンテーションをする鈴木さん 写真/鈴木さん提供