青山 そのほかに、ご自身で特に気になっている手書きのお悩みはありますか?

鷲尾 いろいろとあるのですが……。特に深刻なのは、真っ白な紙に書くときに文字列が蛇行してしまうことでしょうか。自分なりに、便箋を下敷きにしてガイドラインを意識しながら書くなどの工夫をしていますが、うまく書けないんです。

青山 すばらしい工夫をされているんですね。

鷲尾 ただ、下敷きを使えない場合もありますし、何もないところでもまっすぐに書けるようになりたいです。

青山 そうですね。ポイントとしては、外形と中心線を意識するといいですよ。外形というのは、文字のおおよその形。文字の外側を囲んでみれば掴めます。文字の外形を捉え、その中心をまっすぐに串刺しするようなイメージで、文字を並べていくんです。

鷲尾 文字そのものの形を意識するということでしょうか。

青山 その通り。「あ」なら正方形に近い外形をしていますし、「り」なら縦長の長方形になっている。その中心線がどこにあるのかを、まずは把握します。そして、中心線をまっすぐにつなげるように書いていくんです。例えば、こんな感じです。

鷲尾 直前に書いた文字の中心線を意識しながら、次の文字を書くんですね。試してみると確かに、文字がまっすぐに並ぶようになってきました!

青山 いいですね。

鷲尾 こうして意識すれば、ガイドラインなしで文字を書くときにも蛇行をおさえられそうです。

青山 文字そのものの美しさも大切ですが、それらが整然とならんでいれば、きちんとした印象を演出できると思います。こうしたコツを踏まえながら、日々のお仕事での手書き文字を美しくグレードアップさせてくださいね。

鷲尾 はい。手書き文字を受け取った方々から信頼を得られるような文字を心がけていきたいと思います。

文/西門和美 写真/稲垣純也

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