赤木 読み手によって文字の受け取り方は変わるし、美文字のあり方も変わるというわけですね。

青山 その通り。ですから、読み手を意識しながら書くというのが、美文字の基本です。必ずしも、お手本の文字そっくりに書かなければいけないと思わなくていいんですよ。

鷲尾 そうなんですね。私のクセ字は子どもっぽい印象なので、保護者宛ての書類を書くときなどは「もっときれいに書きたい」と思っているんです。

青山 なるほど。鷲尾さんの文字を拝見すると、元気な印象がありますし、丁寧で読みやすい。確かにクセはあるかもしれませんが、優しさや楽しさを感じ取れる素敵な文字ですよ。ただ、おっしゃるように保護者に宛てる書類の場合は、さらに信頼感を得られるような文字を目指すといいかもしれませんね。

鷲尾 ありがとうございます。「保護者向け」と「子ども向け」のように、文字を使い分けても良いのでしょうか。

青山 もちろん。バイリンガルのように使い分けられたらすてきですよね。大切なのは、読み手に心地よく伝わる文字を書くことだと思います。そしてさらに、演出したい自分のイメージを文字の表情として表していけると理想的ですよね。

山崎 演出したい自分のイメージ! 私は、転職したばかりということもあり、きれいな文字で「きちんと感」をアピールしたいんですが……。

青山 いいですね。手書き文字は、自分らしさを表現するツールとして役立ちます。「文字は人なり」という言葉もあるくらいですから。立ち居振る舞いや会話のトーンと同じように、手書き文字にはその人の心持ちが表れるんですよ。

赤木 確かに、手書き文字から、書いた人の人柄や気持ちが伝わってくることってありますよね。

青山 そうなんです。手書きの場合、“書かれている言葉の意味”と同時に、“文字の姿”もメッセージとして伝わります。文字の姿によって、書き手のイメージが丁寧な印象にも雑な印象にもなるというわけです。

山崎 私は最近、親に手紙を書いたのですが「手紙の内容よりも字のきたなさが印象に残った」と言われてしまって。きっと、文字の姿が頼りない印象を与えてしまったんだと思います。親が安心するような文字をマスターして、もう一度手紙を書いてみたいです。

赤木 私も、ここぞというときに相手に響くような美文字を書けるよう、練習しておきたいと思います。

青山 たくさんの練習をしなくても、コツを意識しながら書くうちに文字の印象はどんどん良くなっていきます。信頼感を得られるような美文字を書くには、コツがあるんですよ。では早速、レッスンをはじめましょう!

 続きは7月1日公開です。

文/西門和美 写真/稲垣純也

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