美しい字を書きたい。そう願う人は、今も昔もたくさんいるのではないでしょうか。パソコンやスマホが普及した現代生活の中で、手書きの機会は少なくなりました。とはいえ、その出番がなくなることはありません。今回は、美文字研究家の青山浩之さんを囲んで、手書き文字に悩む3人の女性たちが「美文字」について語り合います。

今回の座談会メンバー
左から鷲尾さん、赤木さん、青山さん、山崎さん
左から鷲尾さん、赤木さん、青山さん、山崎さん
山崎咲子さん(30歳・IT関係・仮名)…職場で手書きをすることはめったになく、付箋にメッセージを書くとき程度。手書きの手紙を読んだ親から、字のきたなさを指摘されたことをきっかけに、美文字を目指そうと一念発起

赤木真由さん(30歳・教育関係)…高校生まで書道を習っていたこともあり、文字の美しさを評価されることは多い。職場では宛名書きなどを頼まれる機会も多いが、うまく書けないもどかしさに悩んでいる

鷲尾彩子さん(30歳・保育士)…業務日誌や連絡ノートなどの書類を毎日手書きで作成するため、書く機会は多い。悩みは、子どもっぽい印象のクセ字から卒業できないこと。信頼感を得られるような美文字を習得したい

アドバイス:青山浩之さん…横浜国立大学教育人間科学部教授/美文字研究家/全国大学書写書道教育学会常任理事
全国の学校で行われる書写・書道に関する研究や教員の養成をはじめ、学校教科書の執筆・編集などを行う。多くの人に書写・書道の魅力を伝えたいと、『ためしてガッテン』『あさイチ』『まる得マガジン』『スクールライブショー』(いずれもNHK)、『PON!』(日本テレビ系)などテレビ番組の講師出演や全国各地での講演活動などでも活躍中。 『美文字の鉄則』(日経BP社)、『仕事がもっとうまくいく! 気持ちが伝わる「手書き」ワザ』(日本経済新聞出版社)、『10日で「美文字」が書ける本』(講談社)など著書多数。美文字練習帳シリーズ(日経BP社)は累計30万部に。 http://www.field-design.info/

青山 こんにちは。今日はよろしくお願いします。みなさんは、手書き文字について何かお悩みはありますか?

山崎 私は、仕事で手書きをすることはほとんどありません。ときどき、書類に付箋を貼って提出することがあるくらいです。でも、手書きを目にする機会が少ないだけになおさら、「きたない字だな」と思われるのは避けたくて

赤木 私も仕事では、付箋にメッセージを書いたり宛名書きをしたりする程度です。高校生まで書道を習っていたんですが、社会人になって手書きの機会が激減したせいか、思うように書けないことが多くなりました

鷲尾 私は保育士をしています。毎日手書きで作成する書類がたくさんあるので、書く機会は多いほうだと思います。悩みは、学生時代のクセ字が直らないことです。

青山 みなさん、それぞれの立場で手書きのお悩みをお持ちのようですね。ところで、美文字とはどのような文字のことだと思いますか?

山崎 やはり、お手本のように美しく整った文字でしょうか。

青山 もちろんお手本は、美文字の代表格ですよね。もう少し広くとらえて、私は、読みやすく伝わりやすい、相手にやさしい文字のことを美文字だと考えています。例えば、丸文字やギャル文字などの流行文字は、ある人にとっては読みにくいクセ字に見えたりするでしょう。でも、仲間うちでコミュニケーションをとるときには、親近感が湧いたりもします。