雇用環境の良さが移住の決め手に

 古賀さんは、熊本県出身で、Iターンで越前市に移住。会社員時代にマスコミの専門学校に通い、福岡県のコミュニティFM局にフリーのラジオパーソナリティーとして転職しました。その後、転勤族の夫との結婚を機に、いくつかの地域で仕事をしてきました。佐賀県の地元観光協会で、観光案内のほか、旅館組合の事務局業務、外国人観光客の誘致活動などに携わってきました。

 古賀さんが、縁もゆかりもない越前市に移住したのはなぜなのでしょうか。「雇用環境の良さこそが、越前市への移住を決めた理由だったんです。有効求人倍率が、私が住んでいた、とある街では0.8倍のところ、越前市のある福井県は1.5~1.8倍。雇用形態や職種が多岐にわたっていて、ここならば個人のキャリアやライフスタイルに合わせた仕事が必ずあると確信しました」と古賀さん。

 夫と越前市を旅行して「素晴らしいところだ」と実感したことも、後押ししました。

古賀さやかさんは越前市にIターンした「LOCOガール」
古賀さやかさんは越前市にIターンした「LOCOガール」

「なんといっても、自然環境と美しい街並が素晴らしい。蔵の辻というスポットに代表される伝統建造物もたくさんあり、街歩きが本当に楽しく、趣味のランニングも大いに満喫しています。伝統工芸の街というのも魅力で、1500年の歴史を持つ越前和紙は、オランダの画家・レンブラントも使用したといわれています」(古賀さん)

 移住する人に対するサポート体制については、「UIJターン就職奨励金制度、新婚夫婦の家賃補助制度など、移住者のニーズに沿った制度が整っています。交流面のサポートもあり、市職員のUIJターン経験者によって構成される、市の行政組織に含まれないバーチャルな課『IJU課』がSNSで情報を発信したり、移住者が越前市になじめるようなイベントを開催したりしています」と古賀さん。

自分の意志で住む土地や生き方を決める「LOCOガール」を応援

 日経WOMANは生まれ育った土地にUターンするだけではなく、縁もゆかりもない都市に大都市から移住したり、オンとオフで都会暮らし&田舎暮らしを使い分けたり、自分の意志で住む土地や生き方を決める女性たちを「LOCOガール」と名付けて応援しています。

 「子育てしながら働いている女性なら、子どもに『ごめんね』と謝りながら仕事をしてきた経験があると思います。仕事を続けることで自分も輝き、子どもも幸せでいられる環境ですよ」と三木さん。そして、「大阪駅から越前市の武生駅まで、特急サンダーバードでわずか1時間40分。まずは気軽に遊びに来てください」と古賀さん。移住によって、自身のキャリアやライフスタイルを大きく変えた二人の女性は、まさに「LOCOガール」の身近な好事例でした。

文/井上麻理子 写真/水野真澄