若さを保つポイントは「AGEsをためない生活」

 さらに伊賀瀬さんのトークは、このセッションのタイトルにも入っている「AGEs」へ。AGEs(終末糖化産物)は、糖化によって作り出される物質で、動脈硬化を増やす大きな原因になるものです。

 糖尿病の人はもちろん、コレステロール値が高い人、アルコールを多く飲む人、カロリーの摂取が過剰な人などにもAGEsが多く見られます。これが蓄積すると、皮膚の老化、動脈硬化、アルツハイマー病、骨粗鬆症など、いろいろな病気を引き起こされることが分かっています。

 このように、人の体に対していろいろな悪さをするAGEsは、ためないようにすることが重要。食物からも入ってくるので注意が必要だと、伊賀瀬さんは言います。例えば鶏肉なら、焼物や炒め物、揚げ物などのように非常に高い温度で調理すると、AGEsがたまりやすくなるそうです。一方、水炊きのように炊いたり、茹でたり、蒸したりする料理は、AGEsを抑えることができるのだそう。

 ちなみに、糖化ストレスを減らしてAGEsの蓄積を防ぐことを目的として作られた飲料も配布されました。食前に飲み続けると、皮膚のAGEsが減っていくことが研究で確認されているそうです。「一日一本ぐらいの感じで、これを飲まれるのもいいと思います」と伊賀瀬さん。

老化物質のAGEsを減らしてくれる調理方法や飲み物も紹介されました
老化物質のAGEsを減らしてくれる調理方法や飲み物も紹介されました

 セッションの最後、「日経ヘルス」プロデューサーの西沢邦浩が伊賀瀬さんに「AGEsをためないために日常生活で気をつけるべきこと」を質問。伊賀瀬さんは、(1)適度な食生活、(2)運動の習慣、(3)適度な睡眠――の三つを挙げました。健康的な生活を送ることが、酸化ストレスをかけすぎないよう体をいい状態に保つために、絶対に大切だということです。

 軽いジョークも交えつつ、肌や体と血管の関係についてのトークを繰り広げた伊賀瀬さん。「みためが若いと、体も若い」「お肌が若いと、体も若い」「AGEsを減らす生活をすることが、アンチエイジングにつながる」とポイントを三つ挙げ、講演を締めくくりました。肌や体に影響を及ぼす老化物質の怖さと、正しい生活習慣の重要性を再認識する、興味のつきないセッションとなりました。

取材・文/山本真由美 写真/水野浩志