7月17日に開催された「WOMAN EXPO FUKUOKA 2016」(アクロス福岡)、7月30日に開催された「WOMAN EXPO OSAKA 2016」(ハービスHALL)の両イベントで、大賑わいだった会場のステージに立っていたのは、フジテレビの局アナとして活躍後、司法試験に見事合格し弁護士への転職を果たした菊間千乃さん。菊間さんは講演で、多かれ少なかれ自分の進路に迷いや不安を抱える女性たちに向けて、誰もが参考にできて元気になれる、実体験に基づくアドバイスを送ってくれました。

菊間さんにとっての幸せとは、ズバリ「自由です」
菊間さんにとっての幸せとは、ズバリ「自由です」

「40歳、無職」のリスクはあったものの

 講演タイトルにも入っている「幸せ」という言葉。菊間さんにとっての幸せとは、ズバリ自由なのだとか。「自分にとって何が正解か考え、その通りに進めることこそが私にとっての幸せだと思うので、やはり幸せ=自由かなと」(菊間さん)

 入社時から、女子アナとして活躍できるのも限られた間だけだと自覚していたという菊間さん。「10年経ったら司法試験を受けて、自分に付加価値をつけることで道を開こう」と考えていたそうです。

 アナウンサーとして大活躍していた26歳のとき、番組中に建物の5階から落下し、上半身を13本骨折、全治2年の大怪我を負う大ハプニングが起こりました。奇跡的にも後遺症は残らずに完治。ところがこのとき「人間ってカンタンに死ぬんだな」と実感。「10年経ったら」と考えていたことをすぐに実行に移そうと決意し、ロースクールの夜間コースに通い始めました。

 最初は会社を辞める決断まではしていなかったそうですが、目の前の依頼人と共に戦い、確実にその人を笑顔にできる弁護士の仕事に強く引かれていったと言います。そして35歳のある日、40歳をどう生きようかと改めて人生の選択肢を検討しました。

 「ロースクール卒業後、司法試験を受けられるのは5年以内かつ3回までという規定があります。会社を辞めた場合、もし受験に3回失敗すると40歳で無職というリスクを負わなければなりません。一方そのまま会社に残っても、20代の頃のような仕事をさせてもらえる保証はなく、過去の自分が一番輝いていたと思いながら60歳まで勤めることもイヤだなと」(菊間さん)

 菊間さんは、35歳で退社することを決意し、司法試験合格に向けた受験勉強一本の生活を始めます。「40歳で無職になるリスクは、試験に合格できるよう努力することでいくらでも減らせると思ったんです。とにかく私は自分らしく生きるため、PDCAサイクルのP(PLAN)を『40歳までに弁護士になる』と定めて、新たなスタートを切りました」