お金を使って後悔しないために…ストーリーの描き方
最後に、菅原さんから、お金を使うときにストーリーを描く方法を教えてもらいましょう。聞けば、「ポイントは3つある」のだとか。
1.主人公は必ず自分にする
「先ほども触れたように、『無料だから行く』というのは、後々になってムダ遣いに感じやすいストーリー。これは自分ではなく、英会話スクールが主人公になっているので、後悔しても『タダだったから』と言い訳したり、他者に責任を負わせたりしがちです。何かにお金を払おうとするときは、『これは私の決断?』と主人公を自分にして、自問自答してください」
2.「いつ」「どこで」「誰と」使うのかが、具体的に描ける
「お金を払う時に行いたいもう一つの自問自答が、『いつ』『どこで』『誰と』使うのかということ。例えば、ブランドのロゴが入った派手なバッグを買おうと思ったら、どんなシチュエーションで使うのかを想像してみるのです。
パーティーに持っていくなら、その機会は何度あるか、普段使いにするなら、そのバッグに合う服はあるのか、と自問自答を続けましょう。もし、ストーリーを具体化することに無理があるなら、それはタダでもらったとしてもムダなもの。場所を取るだけで、恐らく活用できないはずです」
3.「見栄」や「見返り」に踊らされていない
「『このすてきな服を着た私を見てほしい』『あの人が持っていて悔しいから私も買う』など、個人差はありますが、私たちはどうしても見栄の心理が働くものですよね。でも、この見栄や虚栄心を含んだストーリーを描いてお金を使うと、ムダ遣いと感じてしまう可能性が高いのです。
例えば、スマホの最新機種が出たときに、今持っているスマホに不満はないのに『誰よりも早く手に入れたい』という虚栄心でお金を使うと、後でムダ遣いだと感じてしまうことがあります。また、好きな異性へのプレゼントを贈るとき、『これを贈れば好きになってもらえるんじゃないか』といった下心があると、これも後でムダ遣いと感じてしまうかもしれません。
一方で、純粋な気持ちで『あの人に似合うだろうな』というストーリーが描けたなら、ムダになったと後悔することはないでしょう」
*第3回に続く
聞き手・文/石川由紀子 写真/PIXTA
脳神経外科医。菅原脳神経外科クリニック院長。1970年生まれ。杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門として国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの救急医療現場を経験。2015年、菅原脳神経外科クリニック(東京都八王子市)を開院。著書に「そのお金のムダづかい、やめられます」(文響社)、「成功する人は心配性」(かんき出版)などがある。