なぜ不満、なぜ怒っている? ―真意をつかむ
これまで、機内で数々のお客様に対応し、時には厳しいご意見を頂戴することもあったそうです。そのようなときにも平和的な解決へと導いてきた河野さんは、「まずは冷静に、怒りの真意を探ることが大切です。相手が怒りの感情に流され、ともすれば矛先が違った状態で怒っている……というケースも考えられます。真意をつかむことができれば、適切な対応を考えやすくなりますよ」と語ります。
例えば「機内サービスがなってない!」とご立腹のお客様がいらっしゃるとしましょう。
一見すると、機内サービスに対してご不満があるように思えます。もちろん、CA側に不備があり、お叱りを受けるべきケースもあるでしょう。しかしもしかすると、お客様が機内に来るまでの過程で仕事上やチェックインの際に何かトラブルがあり、機嫌が悪い状態で機内でのサービスを受けたとしたら、普段なら気にならないことも怒りのきっかけになったという可能性もあります。
「まずは、なぜご気分を害しているのか相手の話を傾聴することです。真摯な態度でしっかりと話を聞いていけば、相手の心が少しずつほぐれてくるはずです。そうするうちに、こちらの事情を理解する余裕が生まれたり、ご自分の状況に気付いたりと、変化が出てくると思いますよ」(河野さん)
尊重しながらも、言いなりになり過ぎない
そのプロセスにおいて、相手に言われるままにむちゃな要求を聞き入れる必要はありません。
「相手の心情に寄り添うのは大切なことです。ただし、その場を収めようとしてむやみに同調したり言いなりになったりするのは、その後の関係のためにもよくありません。きちんと線引きをした上で丁寧に話を聞き、適切な対応を取るべきでしょう」と河野さん。
このとき、たとえむちゃな要求を突き付けられたとしても、ただ「ダメです」と返すだけでは相手の反感を買うことに。相手の心情を尊重した受け答えや、代替案の提示を心掛ける必要があります。
河野さんは、具体例を示しながらこう教えてくれました。