自費出版した結果は……

 このときの作品「虹のビオレッタ」は、マンガマニアの学生の目に留まり、高い評価を得ます。

 経験のある人ならよく分かると思いますが、実名を出して自分の作品の真価を世に問うのは、容赦ない酷評に耐える強いハートと、心ない言葉に負けない強固なメンタル、なにより大きな勇気を必要とします。作品への反応に心を揺らし、時に自分の才能を疑い、もだえ、苦しみ……それでも創り続けられる者だけが、成長できるのです。

 ジャイ子もその道をたどり、見事に傑作を描き上げました。しかも2014年公開の映画「STAND BY MEドラえもん」には、大人になったジャイ子が締め切りに追われている描写もあります。そう、ジャイ子は夢をかなえたのです!

 ジャイ子はのび太やスネ夫のように、陰で他人の悪口を言いません。ジャイアンのように暴力に訴えたりもしませんし、しずかのように場の空気を読んで愛想よく世を渡ろうともしません。理不尽な中傷にぐっと耐え、卑屈に陥ることなく、黙々と努力した結果、やりたいことを仕事にしました。