いじわるで姑息(こそく)。男をステータスで選ぶ一面も

 意外かもしれませんが、のび太を仲間外れにして別荘に行くスネ夫にしれっと付いていったり、のび太の幼稚な言動をバカにすることも、しばしば。

 一度など、「かわいい自分」のイメージをキープするため、一番好きな食べ物が「やきいも」であることを隠す、などという姑息なエピソードもありました。同性の友人が少ない(ように見える)のも、気になります。

 のび太の将来の結婚相手がしずかであることは、よく知られていることですが、実はしずかはのび太とは対照的なイケメンや高いステータスに弱いことも描かれています。クラスメートの優等生・出木杉君とはかなり親しく、たびたび家を行き来していますし、年上の家庭教師に気持ちがなびいたこともありました。

 それなのに、しずかは明確な意志を持ってのび太と結婚します。なぜでしょうか。原作で、しずかがのび太を結婚相手に決めた理由と読み取れる場面を2カ所、ピックアップしてみましょう。

 一つは「のび太の結婚前夜」という話です。しずかパパは娘の夫になるのび太について「あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね」と賞賛しました。のび太は劣等生でダメ男だけど心は優しい、だからしずかは伴侶に選んだ――。確かにいい話ですが、少々模範解答過ぎますね。

 筆者が真に迫っていると考えるのはもう一つ、「雪山のロマンス」というエピソードです。その中で、未来のしずかと青年のび太はこんな会話をします。