2018年5月19日(土)、20日(日)に東京ミッドタウンでワーキングウーマンのためのイベント「WOMAN EXPO TOKYO 2018」が開催されました。19日には「世界のリーダーの通信簿」と題して、池上彰さんと増田ユリヤさんによるトークセッションが行われました。南北朝鮮の首脳会談、まもなく行われる米朝会談など、世界を揺るがすニュースが相次ぐ今、日本を代表するジャーナリスト二人が、世界各国のトップを辛口で採点します。
 二人による評価は「よくできました」「この調子で頑張りましょう」「もっと頑張りましょう」の3段階。なぜその評価を下したのか、増田さんが現地取材で撮りためた画像を交えながら二人が意見を交わしました。(6月8日時点の状況を基に構成しています)

ジャーナリストの池上彰さん(右)とジャーナリストの増田ユリヤさん(左)
ジャーナリストの池上彰さん(右)とジャーナリストの増田ユリヤさん(左)

アメリカのトランプ大統領の成績は「評価外?」

池上 では、二人で一緒に評価ボードを出しましょう。

■アメリカ/ドナルド・トランプ大統領

池上「あまり頑張らないで」

増田「あまり頑張らないで」

池上 アメリカ大使館のエルサレム移転、欧米など6カ国とイランの核合意から離脱するなど、トランプ大統領関連のニュースが連日のように世をにぎわせています。頑張ってほしい部分はあるけど、変に頑張られても困るから、悩んだ末に3段階の枠を外れた「あまり頑張らないで」にしました。

増田 あら、びっくり。私も同じものを作ったんですよ(笑)。これじゃ、3段階じゃなくて4段階評価ですね。

池上 韓国の文大統領がトランプ大統領を持ち上げたこともあり、トランプ大統領は「米朝会談がうまくいけばノーベル平和賞だ」とその気になっています。予定されている米朝首脳会談の後、中身はともあれ「会談は大成功だった」と発表することになっているんじゃないでしょうか。

会場 (笑)

池上 ですから皆さんはそれをうのみにせず、「ちょっと待てよ」と思いながらニュースをチェックしてくださいね。次は、首脳対談にこぎつけた南北朝鮮の首脳です。

■北朝鮮/金正恩(キム・ジョンウン)委員長

池上「もっと頑張りましょう」

増田「もっと頑張りましょう」

■韓国/文在寅(ムン・ジェイン)大統領

池上「もっと頑張りましょう」

増田「よくできました」

増田 文在寅大統領は、今までの韓国の大統領と比べたときの相対的な評価という意味でつけました。4月27日に軍事境界線がある板門店で南北首脳会談が行われましたが、私、今年1月2日にあの場所に行ってきたんです。

池上 えっ。正月に、ですか?

増田 元日の夜の最終便で(笑)。首脳会談で二人が軍事境界線をまたぎましたが、こんなに低い境界線が越えようと思っても越えられない壁だなんて、驚きました。

池上 軍事境界線上の建物の中は自由に行き来できるから、北朝鮮にも行かれたわけですね。

増田 そうなんです! 建物内を歩き回って北朝鮮と韓国を行ったり来たりしました(笑)。板門店へのツアーは一般の人も参加できて、申し込んでおくと朝7時ごろホテル前にバスが来ます。

池上 途中で国連軍のバスに乗り換えますよね。

増田 アメリカ軍の説明を聞いて「命に何かあっても責任を問わない」という誓約書にサインをしてバスを乗り換えます。スマホもカメラも持参できるけどカバーを取らないといけないなど、細かい規定があります。そこでガイドの50歳前後の韓国人女性に話を聞いたら「子どものころから『あなたたちが大人になったら南北は一緒になる』と教えられてきたから、統一を切望している。文大統領は両親が北朝鮮出身で和議を望んでいて、今までで一番まともな大統領だと皆が思っている」と。文大統領が本気で統一を願っているから、ここまでこられたんだなと感じました。