こんにちは。ライターの大宮冬洋です。老舗名門企業で前のめり気味に働く北田美絵さん(仮名、36歳)に話を聞いています。20代の頃から業界内で目立つ存在だった美絵さんは、最近の「女性活用」ブームの影響もあり、社長からの期待を一身に受けています。

 優秀でポジションにも恵まれている他の女性たちと同じく、美絵さんも「仕事ができない男性」にはまったく魅力を感じないと明かします。ただし、そんな人たちを切り捨てるドライさはなく、むしろ愛情を注いできました。

 「できない人の最大の特徴は、言い訳が多いこと。自分ができないことをできないと言えず、結論をダラダラと先に延ばして、最終的に周囲の期待を裏切ってしまう。他の人に気を使えていないともいえますね。でも、30代40代のうちならば直すことができます。私は取引先も含めてビシバシ鍛えますよ。それで立ち直って大成した男性もいます。見ていて気持ちがいいですね」

 女将さん! と声をかけたくなるような逸話ですね。年下の女性からの「指導」にも素直に耳を傾けて、直すべきところは直せる男性は大器晩成できるのかもしれません。

 一方の美絵さんはエリート社員街道をばく進しています。昨年は、会社派遣で夜間の専門学校に通いました。生産現場にいない人間が抜てきされるのは珍しいことです。

 「クラスメイトにはぼんやりした20代の子も多かったので、私がクラスを引っ張るようなシーンも少なくありませんでした。質問が出ないと先生がかわいそうなので積極的に発言もしましたよ。おかげで講師の先生方からは神のようにあがめられました(笑)」

 同世代の未婚男性とは縁がなく、既婚者もしくは離婚経験者から言い寄られる傾向がある美絵さん。そのクラスでも、中小企業の幹部社員である洋二さん(仮名、45歳)と親しくなりました。洋二さんは離婚をしたばかりで前妻との間に子どもはいません。

 「学校を卒業してからもときどきLINEで連絡を取り合っています。どちらかが市内で飲んでいるときはお互いに車を出し合って家まで送っていくこともあります。二人とも車が好きなので、二人で一緒にお酒を飲むことはありません。彼が一人暮らしの家具を選ぶときは手伝ってあげました。夜中に『声が聞きたくなっちゃった』と電話がくることもあります。多分、彼は私に好意があるんだと思います。でも、私はキュンキュンこない。気楽で安全でいい人なんだけど、男性として好きなわけではありません」

 これだけ親しく交際しているのに「男性として好きではない」なんて、ちょっと残酷ですね……。美絵さんによれば、洋二さんのような存在の男友達は他にも何人かいるそうです。そのほとんどは40代の既婚者。ときどき食事をするだけで、それ以上の関係はないとのこと。