秋鮭、ホタテ、昆布は栄養たっぷり! 期待できる効果

 今回、参加者たちに振る舞われた「海の恵み弁当」のメニューは、「昆布の炊き込み寿司」「ホタテのバターしょうゆ焼き」「昆布とレンコンのピクルス」。北海道の海の幸がふんだんに使われており、聞くだけでおなかがすいてきそうです。この「秋鮭」「ホタテ」「昆布」の栄養素についても、川上さんが紹介してくれました。

 「美肌効果を持つ食品といえばこれ、との定説もあるくらい、鮭には肌によい栄養素が含まれています。特に豊富なのが、前述のアスタキサンチン。メラニン生成を抑え、強い抗酸化力が、皮膚や表情筋の衰えを抑える他、記憶力の向上といった働きもあるようです。なお、鮭にはさまざまな種類がありますが、お弁当に向いているのは秋鮭。脂が適度に乗っているため、調理後に時間がたっても油臭くならず、ホクッとした食感が楽しめますよ」

「鮭には肌にいい栄養素が含まれています」と話す、フードディレクターの川上ミホさん
「鮭には肌にいい栄養素が含まれています」と話す、フードディレクターの川上ミホさん

 秋鮭と同様、ホタテもうれしい効果がいっぱい。眼精疲労回復を助け、余分なコレストロールを減らすタウリン、コラーゲン生成に必要な亜鉛などが多く含まれているとか。川上さんによると「北海道のホタテは産地によって旬が変わるため、通年、旬のおいしいものが食べられます」。

 そして昆布は、西村さんのお話にもあったように、豊富な食物繊維とうまみが特徴。

 「特に不足しがちな水溶性食物繊維が豊富なので、腸内細菌を元気にしてくれます。板、刻み、粉など、さまざまな形状があり、料理に合わせて選べる他、基本的に乾燥しているので保存性が高いのもポイントですね」

参加者は、おいしい「海の恵み弁当」を食べながら、聞き入っていました
参加者は、おいしい「海の恵み弁当」を食べながら、聞き入っていました

全部で5つ! 海の幸を日々の食卓に生かすポイント

 「近年では、水産物が食卓へ上る量が減っています」と、川上さん。これには、生ゴミが増える、肉類よりもレパートリーが少ない、調理しにくいなど、さまざまな理由があるようです。そこで川上さんが教えてくれたのが、日々の食卓に生かす5つのポイント。

 「まず、(1)冷凍/乾燥をうまく活用すること。新巻鮭やホタテは冷凍品もいいものが出回っているので、こうしたものをストックしておくと便利です。いため物にちょい足ししておいしい刻み昆布、味がなじみやすくあえ物やサラダに使えるとろろ昆布などもいいですね」

 また、(2)切り身や下処理済みなど、調理しやすい状態のものを活用するのも一つの方法。

 「日々の食事作りには、手間をできるだけ省くことも大切です。1尾を丸ごと買ってさばくとゴミも増えますから。そして3つ目のポイントは、(3)作り置きに活用することです。ピクルスなど野菜を漬けるとき、調味液に切った昆布も入れるとうまみが乗っかって、さらにおいしくなりますよ」

 この他、(4)いつものレシピを肉と置き換えてみるのもよいとか。特にホタテは料理が簡単で、クセがなく甘みがしっかりしているため、ステーキやバター焼きなどいろいろな料理に合うそうです。

 「北海道ぎょれんさんのホームページで紹介されている、『ほたてビビンバ』(記事末参照)もオススメですよ。そして最後のポイントは、(5)ちょい足ししてみること。とろろ昆布をサラダやスープに足したり、蒸し物の鍋の中に足したり。今回の「昆布の炊き込み寿司」には昆布ジュレを添えていますが、これと塩、オリーブオイルをホタテのお刺身にのせると、まるで昆布締めしたかのようにうまみが膨らみます」

 そう言って、「海の幸を食卓に生かすとおいしいだけでなく、健康や美容にもうれしい成分をたっぷり取ることができます」と続ける川上さん。「皆さんも、ぜひご活用ください」と締めくくる言葉で、会場は盛大な拍手に包まれたのでした。

文/石川由紀子 写真/辺見真也