玄関・リビング・寝室には「クローク」を!

 「収納の考え方」に続いては、具体的な「収納問題の解決法」について。河崎さんは、「玄関とリビングと寝室に『クローク』をつくることで、家の中がすっきりする」という話をしてくれました。

 「クロークというのは、きちんと空間を仕切っている『収納室』のことで、私がオススメするのは、中に人が入り込める『ウオークインタイプのクローク』です。このクロークを『玄関』と『リビング』と『寝室』につくると、収納問題の大部分が解決できるはずです」

写真/中村嘉昭
写真/中村嘉昭

 まず、家族の靴が無造作に並びがちな「玄関」には、玄関脇のスペースに「シューズクローク」をつくることがオススメなんだそう。

 「靴をシューズクローク内にしまって扉を閉めれば、玄関をきれいに保つことができます。また子どもが外で汚してきた遊び道具や、ゴルフ用具などもしまえますし、中に『手洗い場』をつくっておけば、部屋の中に入る前に手洗いやうがいもできます」

 同様に、「リビング」にもクローク(=リビクロ)をつくると便利だと河崎さんは言います。

 「リビングは広いほうがいいと思われるかもしれませんが、『すっきり暮らす』ということを重視するのであれば、リビングが少し狭くなっても『リビクロ』をつくることをオススメします。なぜなら収納家具を置くと、その分壁がなくなり、すっきり感がなくなります。また、収納家具の中や周りにモノがあふれてくるので、ほこりも増えて掃除が大変になり、どこに何があるのかも次第に分からなくなってくるからです」

 河崎さんによると、収納家具を置くのではなく、1畳ほどの「リビクロ」をつくるだけで、リビングはずいぶんとすっきりするんだそう。

 「1畳あれば、掃除機や扇風機、子どもの遊び道具なども収納できます。またリビクロ内にコンセントを設置すれば、スマホやタブレットを充電する『充電スペース』としても使えます。リビングに面する階段下のスペースをクロークとして活用できる場合もあるので、ぜひ検討してみてください」

 そして「寝室」にも「ウオークインクローゼット」をつくれば、さらに暮らしやすくなると言います。

写真/中村嘉昭
写真/中村嘉昭

 「最近は寝室にウオークインクローゼットをつくることが一般的になりつつありますが、中に鏡やドレッサーなどを置いて、アクセサリーなども含めたトータルコーディネートをする『ドレスアップコーナー』にして、おしゃれを楽しむ部屋にするのもオススメです」

 各部屋の実例をスライドで見せながら、収納によって変化した美しい空間をたくさん紹介してくれた河崎さん。会場にいた皆さんも、すっきりとした空間に生まれ変わった「わが家」を思い描きながら、真剣に河崎さんの話に耳を傾けていました。

 河崎さんは、積水ハウスの住まいづくりを学ぶサイト「sumai smile」(すまい・すまいる)でコラムを執筆中。収納術や住まいの実例は、日経DUALの「今知っておきたい! 住宅選び、“共働き視点”」(協力/積水ハウス)でも公開しています。

 また全国の積水ハウスの住宅展示場では、専門家が随時相談を受け付けているそうなので、これから家を建てたりリフォームをしたりする人は、相談してみるのもいいですね。

文/青野梢 写真/中村嘉昭