倫理教育により、自ら命を絶ってしまう少女たち

 もう25年以上も前の話ですが、インドでは北部の貧困地域から都市部にたくさんの女の子たちが売春婦として売られてきていました。年齢は8~10歳くらいが多かったでしょうか。売春宿が摘発されると、幼い売春婦たちは更生施設へと送られてくるのです。

 施設ではその女の子たちに読み書きやタイピング、音楽、裁縫や刺繍などの手仕事を教えます。そうした教育の一環として、倫理教育も行います。つまり、売春がなぜいけないのか。彼女たちは生まれたときから食うや食わずの生活を強いられ、売春宿に連れてこられたときには、とにかく毎日飢え死にしないだけの食事ができるだけでも幸福だと思って生活していました。ところが、その考え方は人間として間違っているということを教えられたおかげで、罪悪感を抱くようになります。

 彼女たちは10代半ばの自立できる年齢になると、その施設を出て行かなければなりません。しかし少々教育を受けたからといって、恵まれた職に就ける少女はほとんどいないのが現状です。結局は元の売春婦に戻っていくしかない子も大勢います。その挙句に、中には罪悪感に耐え切れず、自殺してしまう子もいるというのです。