過去からビジョンの核を見つけ、今を肉付けする

 私は日本の大学で教育学を、インドの大学院で社会福祉学を学び、IT業界の仕事をしてきて、最近では地方の小さな町を回るようになりました。一時期は、「全部中途半端にやってきた」と思ったりもしましたが、今「ITで人を幸せにする」という自分自身のビジョンが見つかってみると、どれもけっして中途半端ではなく、必要なことだったと分かります。

 インドから帰国して初めて就職するとき、何か作り上げる仕事をしたいなぁという気持ちはありました。海外経験を生かせそうだからという理由で、就職雑誌の中から国際会議のコーディネーターという仕事を選んだだけで、実は腰掛け的な気持ちだったのです。

 結局最初の就職がきっかけでIT業界で長く仕事をするようになり、今の仕事へとつながっていくことになるわけですが、自分としては、思い描いているビジョンに近づけるために、その時々の仕事を過去に肉付けしていっているという感覚なのです。今では、この「過去に肉付けする」という意識があるかないかが重要だと思っています。

 会社員として戦略的に働けるかどうかは、過去から見つけ出したビジョンの核に、今を肉付けするという形で作れているかどうか、そしてそのビジョンを少しずつでも実現できているかどうかにかかっている気がします。