起業家の奥田浩美さんが提案する、「会社を辞めないという選択」。会社に所属しているほうが、様々な人とつながりやすく、より大きく社会を変えられる可能性を秘めていると奥田さんは言います。あなたの強みを会社で生かすには? 会社を“使って”自分の夢をかなえるには? 書籍『会社を辞めないという選択―会社員として戦略的に生きていく』の中から、明日からすぐに仕事が好きになれる働き方を提案します。

会社は、小さな黒い魚「スイミー」のイメージ

それぞれの個性を失わずに、みんなが一丸となることだってできるはず (C)PIXTA
それぞれの個性を失わずに、みんなが一丸となることだってできるはず (C)PIXTA

 「会社vs.個人」という構図が不自然なことは、前回の記事・「なぜその会社にいるの?」の質問に答えられますか?で述べました。一人ひとりの個人がみんな会社というチームでともに戦うメンバーだから、というのがその根拠なのですが、もう一つ、こういう根拠もあります。

 あなた個人も「個」ですが、それと同時に、社会という大きな枠組みの中で見れば、一つひとつの会社もまた、「個」に過ぎません。会社は個人という「個」の集まりですが、塊として一つのアイデンティティを持っているという点では「個」でもあります。

 オランダの絵本作家レオ・レオニによって描かれた絵本に出てくる、小さな黒い魚のスイミーをご存じでしょうか。彼には生まれたときにたくさんの兄弟がいましたが、大きなマグロにみんな食べられてしまって、彼だけが生き残ります。その後、自分の兄弟たちと同じような魚の群れに出会うと、みんなでかたまってまるで大きな一匹の魚であるかのように泳ぐことを提案。みごと、マグロを追い払うことに成功します。