出産を機に退職して、念願だった専業主婦になった。ところが、いざ直面してみると思い描いていたものとは異なる日々で、「産後うつ」一歩手前の状態に。そして「自分は専業主婦には向いていない」と痛感し、保活と就職活動を始めたものの……。前回の記事「念願の専業主婦 なってみたら私には向いていなかった」に続き、ニトリで勤務している2児の母、宮澤千絵美さんにお話を伺います。

――実際に、保活と就職活動を始めてみて、いかがでしたか?

 就職活動をするには、子どもを預けなくてはいけない。でも、保育園には入れない……という無限ループに陥りました。それなら、保育園に入りやすい場所に思い切って引っ越そうということになったんです。「保育園を探すこと」が第一優先課題でした。

産後うつからの脱出のために、保育園を探すことが第一優先でした
産後うつからの脱出のために、保育園を探すことが第一優先でした

 夫の通勤圏内で待機児童が多くない地域を中心に探して、今の住まいに引っ越してきました。保育園にかたっぱしから電話して、「働くつもりがあればいいですよ」という無認可保育園が無事見つかり、そちらに預けて就職活動を始めました。

 前回、派遣会社に登録をしたらすぐにオファーがあったことを思い出して、登録してみたのですが、子どもがいるとオファーが全く来ませんでした。履歴書もかなりの数を送りましたが全滅。「お子さんがいる方はお断りしているんです」と電話で言われたこともあります。たった10年前の話ですが、当時はまだ子育て中の女性が働ける環境がそれほど整っていなかった時期でした。

 心が折れそうになっていた頃、たまたま娘と一緒に散歩をしていたら、ニトリを見つけたんです。はい、今勤務しているニトリです。

 私は北海道出身で、北海道に本社があるニトリは地元でかなり有名な企業。でも私自身が東京に出てきてから十数年、見る機会がなかったのですが、この散歩の時に初めて見かけました(笑)。「東京にもあるんだ……懐かしいな」と、家に帰ってホームページを見たら、貿易関係の仕事の求人がありました。正社員ではなく、契約社員だったのですが、これまでの経験も生かせそうだし、ご縁のようなものを感じて応募してみると、面接に進めたんです。

――これまでの再就職活動で、「面接」に行かれたこともありましたか?

 いいえ、書類選考の段階で苦戦が続いて、実際に面接に行ったのはニトリが初めてです。正社員と契約社員とでは採用のステップが違うと思うのですが、私の場合は、面接中に採用が決まりました。こんなこともあるのだと驚きました。

 「子どもがいて保育園に通わせているので、残業はできないかもしれません。でも働けるなら、部署はどこでも構いません!」と素直に相談しましたね。子どもがいる女性社員が当時少なかったので、最初の半年間はパート契約になり、商品部に配属になりました。

 勤務時間は9時~17時。仕事をすることが、ものすごく楽しかった。そして、「子どもが本当にかわいい」と思えるようになりました。もちろん、これまでも子どもはかわいい存在でしたが、仕事に復帰する前は、いつも私はイライラして子どもにも夫にも怒ってばかりでしたから。