仮に自分は働き続けたいと思っても、何かのきっかけで専業主婦になることもある。そんなとき、「一度、仕事を辞めて専業主婦になったら、ちゃんと復職できる?」「実際、どんな気持ちになるの?」と気になるのではないでしょうか。今回は、夫の海外赴任をきっかけに専業主婦になり、帰国後に再び働き始めたバリキャリ思考の女性に、「本音」をお聞きしました。

K・Sさん(37歳)
メーカー・営業部
子ども…5歳、3歳
専業主婦歴…約5年
職歴…新卒でメーカーに入社。結婚、出産。産休中に夫のベトナム赴任が決まり、退職して専業主婦に。ベトナムに帯同し、第二子出産。約4年後に帰国し、中堅メーカーで派遣社員勤務後転職。現在はメーカーの営業部に正社員として勤めている。

もともとバリキャリ思考でメーカーに就職

――K・Sさんは、新卒でメーカーに就職したんですよね。

 「はい、いつか結婚して子どもを産んでも、働き続けてキャリアを重ねたいと思っていたのですが、自分が将来どんな人と結婚するのか、結婚したらどんな状況になるかが分からなくて。まずは、挑戦したい仕事に飛び込もうと思いました。私が就職したメーカーは男性女性関係なくみんなバリバリ働く雰囲気があって、仕事を頑張る覚悟で入社。当時から私には専業主婦になる選択肢は全くありませんでした」

「もともと、バリキャリ思考でした」 画像はイメージ (C)PIXTA
「もともと、バリキャリ思考でした」 画像はイメージ (C)PIXTA

――31歳で結婚後、旦那さまがベトナムに赴任になり、それが専業主婦になったきっかけと伺いました。

 「周りからは、『結婚せずにキャリアを突き進むタイプ』だと思われていたようですが、私は普通に結婚したいと思っていたんです。今の夫に出会って結婚後、すぐに妊娠が分かり、産休・育休に入りました。出産直後に、夫の海外勤務が正式に決まり、私はメーカーを退職して専業主婦として赴任先のベトナムに付いて行くことになりました。仕事は続けたかったですが、海外生活は子どもにとってよい経験になるはず! と、会社を辞めることに迷いはありませんでした。

 学生時代の男性の友達からは『きみは「駐在の妻」ってタイプじゃない。せっかくだから現地で起業したら?』なんて言われましたね。それくらい、本当の私は専業主婦には向いていないタイプだと思います。確かに根っからのバリキャリ思考ですが、夫の駐在という期間限定だから、専業主婦もアリだと思ったんです」

――ベトナムでの生活はいかがでしたか?

 「そんな私なので(笑)、日本人同志のいわゆる『駐妻コミュニティー』にはなかなかなじめませんでした。駐在中の4年間で本当に仲良くなった日本人の友達は、ほんの数名です。帯同者として海外に行く場合は駐在期間は就業できないので、割り切って『産休育休期間』だと考え、二人目も出産しました。上の子をインターナショナルスクールの幼稚園に入れると、幼稚園ママのお仕事が膨大で……。保護者が何度も駆り出され、欧米人がほとんどのその園では、英語でのコミュニケーションに苦労しました」

――現地に住んでいた時は、メイドさんなども利用されましたか?

 「駐在員の多くは、メイドを雇っていました。家事や子どもの世話だけを頼むレベルから、住み込みのフルタイムメイドを雇う人までさまざま。私は『仕事もしていないのに家事をしないなんて……』と、メイドを雇うことに引け目もあり、最初は全部自分でやっていたんです。でも、家の構造や気候の関係なのか、日本でやっていた掃除レベルでは太刀打ちできないカビや虫が発生してしまって(苦笑)。二人目が生まれてからは、掃除だけ依頼しました』