――仕事のブランクは、いかがでしたか?

 「5年近くのブランクなので、勘が戻るだろうか……と不安でしたが、『私、問題なくいけるじゃん!』と逆に自信になりました。ただ慣れてくると、前職よりラクな仕事だったため、やりがい不足を感じて。『子どもが落ち着いたら、絶対バリバリ働こう』と再認識できました。そして1年後に転職し、現在はメーカーの営業部でフルタイムで働いています。ただ、母親業も妥協したくないので、独身時代のように夜遅くまで働いて出張ばかりという超バリバリではありません。程よい働き方が見つかったと思っています。

 キャリア面だけを考えると、率直に言うと仕事のブランクはマイナスです。もし、独身時代に勤めたメーカーにそのまま勤め続けていたら、今の年収の2倍にはなっていたでしょう。仕事のやりがいも、もっと大きいかもしれません。ただ、人生をトータルで考えてみると、ブランクがあることは必ずしもマイナスにはなりませんでした。私の場合は、子育てを経験したことで仕事の処理スピードが上がりました。子どもが熱を出したら仕事を休むことになるので、常に前倒しで仕事を進めるクセが付いたのは大きな収穫です。

 また、専業主婦の期間、子どもとしっかり向き合う時間が取れたことはよかったですね。後から『あの時、子どもとしっかり向き合いたかった』と思っても、時間は取り戻せません。人生の転機それぞれで、自分にとって最良の選択を行い、常に先のことを見据えながらどう計画し、どう実行していくかが大事だと思います」

やっぱり、私には専業主婦より仕事をする生き方が合う

――今、仕事に本格的に復帰して、いかがですか?

 「周りからは、『子育てしながらそんなに働いて、パワフルだね』と言われますが、実際体力はないし、健康にも自信がない。毎日ヘトヘトで、家は『すてきブロガー』とは真逆の状態。でも、充実しています。私にとっては、専業主婦で毎日のようにママ友と公園で過ごすほうが体力も気力も必要だと感じます。どんな道が合うかは、人によって異なるんでしょうね」

――今後のキャリアについては、どのように考えていらっしゃいますか?

 「私は何事も計画的に進めるのが好きです。専業主婦からの復職のステップも4つの段階に分けて考えていました。

 ステップ1は、子どもを保育園に入れるためにあらゆる手段を考える。これは、働くうえで必須条件ですから。

 ステップ2が、慣らし仕事。自分と子どもが、仕事と家庭との両立に慣れるためにある一定期間は必要です。負担にならない仕事で調整するために派遣勤務を選びました。

 ステップ3が、本格的に仕事に復帰。今の私です。ハードワークではありませんが、それなりのやりがいと収入を得られています。

 ステップ4は、これから先のこと。自分の挑戦したい仕事に飛び込む準備をしたいと思っています。子どもがある程度手を離れた時期、例えば下の子が中学を卒業した頃でしょうか」

――専業主婦を経験して、働く今、どんなことを考えているでしょうか。

 「どんな経験も、視野を広げる機会があり、得るものが何かしらあることが分かりました。専業主婦時代は、『バリバリ仕事をしない人の生活や考え方』に触れることができましたし、仕事がしたくてもできなくて悶々としている女性が大勢いることも分かりました。学歴や職歴、能力、そして仕事への意欲はあるのにさまざまな事情で仕事の現場を離れ、悔しい思いをしている女性がたくさんいることも知りました。

 これから仕事や子育てをしていく上で、それを知っているかどうかは自分にとって大きな違いになると感じます。今後自分自身のキャリアを重ね、新しい仕事にどんどん挑戦できるよう、これまで得たすべての経験を生かしていきたいと思っています」

文/西山美紀 写真/PIXTA