オトコゴコロを理解することは、会社のコミュニケーション上、実は大切なこと。この連載では、同じ職場で働く男性社員と共存し、上手に会社の人間関係を築くためのヒントをお届けします。今回は、男性の後輩に好かれていて、業務上困ることが出てきてしまっているという相談です。

Q.年下男性社員に恋愛感情を持たれているのが困る

 私が教育係を担当した若手の男性社員に、好意を越えて恋愛感情を持たれている気がします。最近、そう思わせるサインがいろいろあります。
 まず、大した内容ではないメールの数が増えました。今日は誰だれが休みだとか、近くに新しい飲食店ができましただとか、今度の職場の飲み会行きますかと確認のメールだとか。最初は一つひとつ返していましたが、面倒になってきました。職場の飲み会があると、必ずといっていいほど、隣か正面・あるいは斜め前の席を取ります。ミーティングで話をしているときに、参加者全員を見ればいいのに、私を見ます。よく目が合うので、彼が発言しているとき私は下を向いて資料を見ている振りをするようになりました。また、ほかの男性社員とランチに行くとき、「僕も一緒に行っていいですか?」と半ば強引に加わってきます。
 先輩であるという立場上、邪険にもできないですし、将来有望な後輩社員です。先輩後輩の関係を壊したくありません。単なる好意、先輩として好かれているだけならこのまま様子見でいるつもりですが、アプローチがエスカレートしてきたら、どのように回避すればいいでしょう。
(33歳・営業)

後輩男性から過剰な好意を持たれていたら、どうする? (C)PIXTA
後輩男性から過剰な好意を持たれていたら、どうする? (C)PIXTA

A.気持ちをうまくかわしつつ、万一にも備えましょう

 基本的に今の姿勢でOKだと思います。あくまでも会社の先輩としての立場を貫くのがベスト。多分、後輩の彼にとっては、右も左も分からないときにテキパキとこなしていく教育係の貴女が素敵に見えたのでしょうね。恋心というよりも、言わば、鳥のヒナの刷り込みのようなものかもしれません。

 誰だって自分に自信がない時に、親切にされたらうれしくなるもの。これは男も女も関係なく、時には恋愛感情へと移行していくこともあるでしょう。きっとそれは相談者の貴女も理解されていますよね。

 でも、教育係になるたびに恋愛対象にされていたら大変です。それに恋愛って、理屈じゃないですし、ダメなものはダメ。それを後輩に直接告げるのははばかられる、という貴女は優しい人。

 最近は上手にコミュニケーションを取れない人を「コミュ障」と呼んだりします。人との距離は難しいもので、近すぎても遠すぎてもいけません。社会心理学ではパーソナルスペースといい、物理的な距離の近さで、その親密度を計ります。概して、欧米人に比べて日本人はその距離が遠いとされており、あまり親しくない人からパーソナルスペースに踏み入れられると、拒否反応を示してしまいがち。きっと後輩の彼は、その距離の取り方が貴女とは違うのです。

 普通は、日常生活や交友関係から自然と学んでいきますが、できない人もいます。英語や数学のように教科書もないし、学校で「初対面の人には○センチまでは近づかないようにしましょう」などとは教えてくれませんから、ある程度は仕方がないのかも。貴女の中でそういう人もいる、と認識することも大切です。