イメージのギャップを突っ込むか、否か?

 そういえば、先日、自分の下着姿をネット上にアップしていたことで、厳重注意を受けた東京高等裁判所の岡口基一さん。その行動が裁判官の品位を傷つけたということでしたが、これもそんなギャップに反応した例の一つと言えるかもしれません。

 そこで、問題になった「品位」って、結局、何なんでしょうか?

 『デジタル大辞泉』によると、

1 人や事物にそなわっている気高さや上品さ。品格。「―を保つ」「―に欠ける」

2 金銀の地金、貨幣の含んでいる金銀の割合

3 鉱石中に含まれている有用元素の割合

 とあります。ここでは、もちろん1の意味ですね。裁判官が法に触れるようでは問題ですが、あれくらいなら個人的には面白いという程度。裁判所が厳重注意をしたことで、かえって注目集めましたね。

 さらに遡ると、2006年にベストセラーにもなった坂東眞理子さんの『女性の品格』(PHP)。その本を紹介した出版社のサイトの説明文にはこうあります。

 『古い型の「女らしさ」はもはや求められないのだろうか? いや、女性上位の時代だからこそ、従来の男性とは異なる価値観、よき女性らしさを、職場や家庭に持ち込んでほしい、と著者は語っている。』とのこと。

 このベストセラーはもう10年も前の話になるんですね。当時、「女性って、大変だなあ」と思いながら読んだ記憶があります。長くなるので、いわゆる女子力という話はまた別の機会に譲ることにしますが、ここでも、話の中核となるのがイメージとのギャップということでしょう。「女性なんだから、やっぱり○○である方がいいですよね」というもの。

 相談者の貴女にとって、かわいいハンカチはキリッとした上司のイメージではなかった。同じく、裁判官が下着姿をネットにアップするなんて、高潔なイメージではなかった、ということ。女性として生まれたからには、こういうイメージを崩さない方がいいというのが、前述の書籍の姿勢でしょう。

 でも、この「あってほしい姿」というのは、あくまでもイメージを抱いた側の一方的な気持ちです。以前、この連載の前にやっていた『モテる美容学』の「肉食系はもう古い! モテる女は“カメレオン”」という記事の中で、「あるべき姿」と、「あってほしい姿」が混同されると、これが摩擦を呼ぶと述べました。

 ですから、あまり深入りせず、サラッと流すこともスキルの一つだと思います。かわいいとキリッとしたイメージが同居したって、問題ありません。しょせん、誰かに対するイメージなんて自分の思い込みというフィルターを通したものでしかないのですから。

文/藤村岳 写真/PIXTA

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