「なりたい私」になるために、オフ時間を上手に使いたいと思う人は多いはず。でも実際のところ、「どうやって時間のやりくりをしているの?」「過ごし方を工夫したら、どんな未来が待っているの?」と思うことはありませんか。そこで今回は、オフ時間を上手にやりくりしている読者に徹底取材。約30年間、趣味で続けてきたピアノが仕事になったM・Tさんに、「自分時間」の過ごし方やピアノ講師になった経緯を伺いました。

趣味で30年続けたことが仕事になり、週1でピアノ講師をしていました。 写真はイメージ (C)PIXTA
趣味で30年続けたことが仕事になり、週1でピアノ講師をしていました。 写真はイメージ (C)PIXTA
<プロフィール>
M・Tさん(40歳)
教育、事務、独身

平日のオフ時間の合計:約3時間
休日のオフ時間の合計:約7時間

講師になろうとしたことはないけれど…週1でピアノ講師に

――現在、教育関連の事務職員として働きながら、ピアノやエレクトーンの講師もしていると伺いました。本業をこなしながら、「オフ時間」を使ってどのように講師として働いているのでしょうか?

 「音楽ホールの練習室で、幼稚園の先生向けにレッスンをしています。基本的には週1回で、1時間。本業の事務の仕事が終わってから、生徒さんたちが仕事で弾く曲を中心に教えています。講師としての収入は、月に1万円ほどです」

――ピアノはいつごろから始められたのですか?

 「30年ほど前、10歳の頃からです。近所の友達が習っていたことがきっかけで始めて、大学を卒業するまでレッスンに通っていました」

――昔からピアノの講師になるのが夢だったのでしょうか?

 「いえ、講師になりたいと思ったことはありませんでした。大学進学時に、お世話になったピアノの先生から、『講師の道もあるけどもうからない』という話を聞いていましたし、当時は人に教えることにも興味がなかったからです。

 でも、鍵盤楽器を弾くこと自体は好きだったので、社会人になり保育士として働き始めてからは、職場でパイプオルガンを習いながら弾いていました。

 そして仕事や生活に余裕が出てきた頃に、音楽教室でエレクトーンの体験レッスンを受講したら、一気にハマってしまって。それまで貯金していたお金で、思い切ってエレクトーンを購入したんです。

 最初はグループレッスンだったのですが、個人レッスンを受けるようになってからは、資格取得を目指して練習するようになりました。『できるところまでやってみよう』というモチベーションで、仕事のリフレッシュも兼ねて続けていましたね」

――仕事以外の「自分時間」を、ピアノの練習に使っていたんですね。どのようにして、ピアノのための時間を確保していたのでしょうか?

 「平日の夜や土日、連休などは、家に引き籠もって集中して練習していました。また『日曜の午前中は練習する時間』と決めて、できるだけ予定を入れないようにもしていました」

――その後30歳くらいで資格を取り、保育士とピアノの講師を兼業されていたと伺いました。講師として働くきっかけは何だったのでしょうか。

 「講師として働くようになったのは、約6年前。34歳の頃からです。転職を考えていることをレッスンの先生に話したところ、講師の仕事をすすめられたことがきっかけです。

 ただ、講師の収入だけでは生活できないことを知っていましたし、趣味が仕事になると楽しくなくなるだろうと思っていたので、最初は講師になることをためらいました。

 でも、レッスンを受けていた先生や、音楽教室の方々が熱心に後押しをしてくれたので、恩返しの気持ちも込めて、自然な流れで講師の仕事に就くことになったんです。

 この時は、退職される先生の生徒さんをそのまま引き継がせてもらえたので、スタート当初から、たくさんの生徒さんのレッスンを担当させていただきました。そして5年弱くらい、保育士と講師を兼業していました」