チャンスを待ちながら、直感を信じて行動に移す

――高畑さんは、小学生の頃にミュージカルを見て、舞台女優になりたいと思ったそうですね。オーディションに落ちた経験もあると思いますが、落ち込んだときにはどうやって立ち直っていましたか?

 「忘れるのを待つだけですね(笑)。もちろん落ち込みますし、悲しくて泣いたりもするんですが、私の場合は無理に立ち直ろうとするんじゃなくて、自然に回復するのを待ったほうが早いんです。すごく落ち込む半面、浮上するのも早いタイプなので、自然に立ち直るのを待っていると、そのうち忘れてしまいます(笑)」

――そして14歳で舞台デビューをして、本当に夢をかなえたわけですが、「なりたい私」になるために大切なことは何だと思いますか?

 「かなえたい夢を思い描いたり、『なりたい私』を強く願ったりすることは、すごく効果があることだと思います。またそれと同時に、私は『縁』というのも信じていますね」

――「縁」ですか?

 「はい。人との『縁』や、演じる役柄との『縁』など、歯車がかみ合うときには、本当にさまざまなことが、カチッとはまるんです。もちろんそうでないときもあるので、うまくかみ合わない場合は、『そういう時期なのかな』と思って、悩み過ぎないようにしています。

 順調にいくときと、いかないとき。人にはやっぱり、そういうサイクルがあると思うんです。でも、うまくいかないときが過ぎると、不思議なことに今度は自分が成長するためのチャンスが巡ってきたりする。だから『順調にいかないな』というときには、次に来る大きな『跳躍』に備えて、割と充電モードで過ごすようにしています」

――その「跳躍」を感じたのは、いつごろのことですか? 「これは大きな跳躍だったな」と思う出来事を教えてください。

 「NHKの朝ドラ、『ごちそうさん』のオーディションに受かったときです。直感的に『人生が変わるな』と感じたので、『ここからは死ぬ気でやらないと』と思って、必死で頑張りました。

 『他には何もいらない』という気持ちで、2年間くらいはずっとお芝居のことだけ。基本的にはドラマや演技のことだけを考えて生活して、常に気を張っていた感じです。『このチャンスをつかまないと変われない』という思いがあったので、生活のすべてがお芝居のためにあるような感覚でしたね」

――その直感の通り、『ごちそうさん』に出演されてからは、舞台だけでなくテレビに映画にと、活躍の幅が広がったのではないでしょうか。

 「そうですね。それまでは舞台を中心に活動していたのですが、『ごちそうさん』をきっかけに、映像の世界に飛び込んで。そこから、テレビや映画にもたくさん出演させていただいて、本当にいろいろなことが大きく動いたと思います。

 舞台が大好きなことは今も昔も変わらないのですが、『違うフィールドでもお芝居をできたらいいな……』とおぼろげに考えていたことが、どんどん現実になっていった感じでした」

――高畑さんは、普段から自分の「直感」を大切にされているんですか?

 「はい。私は超・直感派なんです。小さい頃からそうだったので、自分の直感は信じていますね。自分が『これだ!』と思ったときは、それに向かって突き進む。でも、その分ムラがすごいんです。『これだ!』と思えないときには、なかなか動けないので(笑)」

――自分の「直感」を信じて突き進むことも、勇気がいることのように思います。

 「私は白黒をハッキリとつけたいタイプで、グレーゾーンが少ない性格なんです。だから『今だ!』と思ったら、昔から『逃げ道』をなくすような行動をしているような気がします。

 例えばデビュー後には、故郷の大阪を離れて上京しました。このときも、私にとっては大きな『跳躍』が必要な時期だったので、住み慣れた街を離れることで、逃げ道をつくらないようにしていたんだと思います。

 そして『ごちそうさん』のときには、大学を辞めました。正直に言うと、大学に通っていたときには、『女優以外の道もあるのかな……』と考えることもあったんです。でも、『ごちそうさん』のオーディションに受かってお仕事していく中で、『私はこの道でいこう。女優を続けてみよう』という思いが固まって。

 『逃げ道をなくすために大学を辞めた』なんてカッコイイ話では全然なくって、偶然そういうタイミングだったんですが(笑)、振り返ってみると、その時々で自然と逃げ道をなくす行動をしているのかな……と思いました。

 実際、大学を辞めるまでは、親にも『そのうち大阪に帰るかもね』と冗談のように言っていたんです。でも、この頃を境に、『大阪には帰らない。この仕事で何とか食べていかなきゃ』というふうに変わっていったように思います」