オフ時間を上手に使って人生を充実させるためには、「今」をどのように変えていけばいいのでしょうか。本特集「10年後、なりたい私になる『自分時間』の過ごし方」では、戦略的な「モードチェンジ」を提唱している教育改革実践家の藤原和博さんに、「自分の人生」を生き抜くための方法を伺いました。前後編の2本立てでお届けします。

前編:10年後、理想の自分になる「モードチェンジ」の方法(この記事)
後編:自分探し・正解探しはやめる「体験至上主義」のススメ 5月18日公開予定

藤原 和博(ふじはら・かずひろ)

教育改革実践家。1955年生まれ。リクルート入社後、20代は営業としての手腕を発揮。しかし30歳でメニエール病を発症し、37歳でヨーロッパへ移住。40歳で独立。47歳から5年間、義務教育では東京都初の民間校長として、杉並区立和田中学校校長を務める。2016年から2年間、奈良市立一条高校の校長に就任。「45歳の教科書」(PHP研究所)、「人生の教科書[おかねとしあわせ]」(筑摩書房)など著書多数。

視点を「世間」ではなく「自分」に定めることが大切

 理想の自分になるためには、人生の流れを変える戦略的な「モードチェンジ」が必要だと説く、教育改革実践家の藤原和博さん。じっくりと自分と向き合える『オフ時間』にこそ、モードチェンジのためのアクションを起こそうと話します。

「現状から脱却して『なりたい私』になるためには、これまでとは違う時間の使い方をする必要があります。今と同じ過ごし方をしていては、人生の流れは変わりません。戦略的にモードチェンジしたいのであれば、方法は大きく分けて三つ。

 一つ目は、『自分の思いや悩みをノートや紙に書き出す』こと。まずは、ここから始めてみるのがいいでしょう。

 悩みを書き出すと、頭の中にある漠然とした思いが可視化されます。すると思考がクリアになり、現状を冷静に分析できるようになるのです。また、自分の内面と向き合うことで、物事を考えるときの基準や視点を、『世間』ではなく『自分』に向けられるようにもなります」

 このときに重要なのは、正直な思いを、SNSではなく「ノート」や「紙」に書くことだと藤原さんは言います。なぜ、SNSではダメなのでしょうか。

「SNSに書くと、嫌でも視点が『世間』に向いてしまいます。他人の私生活を気軽にのぞける反面、自分ものぞかれる立場になるため、知らず知らずのうちに、自分と他者を比較してしまうからです。

 人に読まれることを意識して書き、他者からの評価を気にして生きている限り、モードチェンジはできません。オフ時間を使って自分と向き合い、これまでとは違う生き方を決断するためには、視点を『世間』ではなく『自分』に定めることが大切なのです」