「作業」は誰でも代わりを務められる状態にする
――自分の仕事を別の誰かに代わってもうらことで、業務の上で何か良い効果が生まれたりしますか?
他の人の仕事を引き継ぐことによって、「こんな非効率なやり方をしていたんだ」っていう発見がけっこうありますね。また、業務マニュアルが作られたことで人事異動の引き継ぎもスムーズになり、部長や経営陣も誰が何をしているのか把握できるようになりました。
日頃から誰かと仕事を共有しておくことも当たり前になっています。誰でも代わりを務められるとなると寂しい気もしますが、自分にしかできないことは「発想」の面で発揮すればいいわけで、日々の「作業」はどんどん共有していった方がいいと思います。
また、職場に休みやすい雰囲気が生まれて、山ごもりを年に2回するような人も出てきました。1カ月の育休を取った男性管理職もいます。山ごもりの1週間が1カ月になると思えば、そんなにたいしたことはないねという感じで。これまでに3人の男性が育休を取っています。
うちのようなITベンチャーは意欲の高い人が多くて、しばりがないと働きすぎてしまうんです。休みや残業のルールが厳しくなった当初は、もっと残業や休日出勤をしたいという声もありましたが、それよりも勉強やリフレッシュ、違う人脈づくりなどの時間にあててもらった方がいい。今はそういう雰囲気になりつつあります。
家族サービスで海外旅行、断食道場やアフリカ一人旅まで
――ちなみに、みなさんは山ごもり休暇をどんな風に過ごしているのでしょう。
安い時期に海外へ行けるので、結婚している人はハワイやグアムへ家族サービスに出かけたりして、すごく評判がいいみたいです。旅行に限らず、断食道場に行った、ずっと家にいたという人もいますよ。
休暇の内容は、後日スライドを使って全社員の前で5分間プレゼンすることになっています。今は社員数が増えたので、初めて山ごもりをする新入社員だけの発表になりましたが、以前は毎年全員が行っていました。休みの過ごし方には人柄が出るし、写真に家族が登場したりするので、見ている方もすごく楽しいです。
――ユニークな山ごもりの例はありますか?
たぶん私が一番ヘンだと思います(笑)。昨年は、アフリカのタンザニアにある電気も水道も通っていない村へ1人で行きました。彫刻師に弟子入りして、黒檀から精霊を彫り出すんです。言葉も通じないし、「世界ウルルン滞在記」のようでした。
ほかの会社で働いていたら絶対できなかった挑戦だと思うと、人生に一つ大きな価値が加わったような気がします。
――山ごもり休暇のような制度を他社が取り入れたいと考えたときに、気をつけるべき点があれば教えてください。
引き継ぎ書やマニュアルをちゃんと「作りきる」ことが大事じゃないでしょうか。やらない人が出ないよう、できあがったものをメールで流すようにして、完了チェックの項目を作っておけば進捗状況を管理者が確認することもできます。
あとは、会社としてやるんだという姿勢を見せること。うちの場合は役員の発案だったので、強制力をもって全社員が実行することができたと思います。
――ありがとうございました!
文/谷口絵美
2001年設立。業界シェア1位の広告効果測定システム『アドエビス』をはじめ、さまざまなマーケティングソリューションを提供。2014年9月、東京証券取引所マザーズに上場。9日間の連続休暇「山ごもり制度」や、社外で知識・経験を得るための「武者修行制度」など、社員の発想を刺激する取り組みに注力している。
URL:http://www.lockon.co.jp/
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