アニメーション業界の平均残業時間は月平均100時間。3DCGプロダクションのピコナもかつては100時間超えが当たり前だったといいます。しかし、今やそれが20時間を切るまでに。ピコナの働き方をがらっと変えた「残業チケット」制度について聞きました。

「残業チケット」っていったい何ですか?

 東京・田園調布の閑静な住宅街。会社とは思えないお洒落な一軒家がピコナのオフィスです。

 「おはようございます」と出勤してくる社員のみなさん。何やらコインのようなものを手にしてデスクに向かっていきます。パソコンを立ち上げて、社内システムにログイン。「このシステムで労務管理をしているんです」と教えてくれたのは、総務部の林沙智絵さん。今回聞いてみたかった「残業チケット」もこのシステムに関係しているのだとか。早速取材させていただきます!

総務部 林沙智絵さん
総務部 林沙智絵さん

 ピコナが行っている「残業チケット」制度は、月初にシステム上で“チケット”が10枚配布され、残業をする際にそのチケットを使うというもの。残業をする場合は19時までを目安に申請し、1枚のチケットで最大23時まで残ることができます。

 「ただし、6枚以上は“ペナルティ”があります」と林さん。差し出されたのは……カジノのコイン? 「チケットが6枚以上になると、1枚あたり“ピコナポイント”が5ポイントマイナスになるんです」

 社員のアイデアで始まったという「ピコナポイント」は、福利厚生の一環。1日出社するごとに1ポイント貯まり、ポイント数に応じて豪華景品の当たるサイコロが振れる仕組みです。なるほど、みなさんが出社時に手にしていたのはこのポイントだったんですね。景品はカニ缶やチョコレートなどの食べ物から、遊園地のチケットまでさまざま。景品の内容も社員の希望で決めたそうです。

 「5ポイント引かれるということは、1週間の出勤分すべてということになりますから、6枚以上チケットを使う人はまずいませんね」