休暇の取り方をサポートする役職がある?

 一方で、「日本人は休み方を知らない」ともいわれますよね。休みを与えられても、何をしたらいいか分からない人が多いと。当社では社員が人生を充実させるための休暇の取り方をサポートするために、子育て経験のある副社長が「CSO=チーフ・スマイル・オフィサー」を兼任して、休み方のアドバイスをするメンターとして機能しています。年1回の誕生日ランチで、社員全員がCSOと面談できるようにしています。

――「休み方をアドバイスするCSO」とは、新しい役職ですね。社員の笑顔に責任を持つという姿勢を出しているのですね。

 はい。心からの笑顔のもとになる休み方を会社と社員が一緒に考える機会ができれば、それもストレスオフにつながっていくはずです。「残業撤廃」「有休取得100%」と大声で打ち出せるのは本当に余裕のある大企業だけではないかというのが私の本音でして、私たちができることをコツコツとやっていきたい。「うちは真っ白なホワイト企業にはなれないかもしれないけれど、皆が笑顔でいられるオフホワイト企業を目指すよ」なんて言っています(笑)。

メディプラスでは、家族や大切な人とのコミュニケーションを大切にしている
メディプラスでは、家族や大切な人とのコミュニケーションを大切にしている

――「ストレスオフ」のための各種制度の中には、年末年始の帰省に使えるギフトチケットのような“家族とのコミュニケーション”を意識したものが目立つようにも感じました。これにはどんな思いが込められているのでしょうか?

 私自身の後悔の念ですね。私は祖父母に育てられ、その育ての親もすでに他界しています。孝行したいときに親はなく、生きていた頃は私自身がまだ未熟で、東京で会社を立ち上げて奮闘している最中でした。お金の余裕もなく、「成功できるまでは帰れない」と顔を見に行くことはもちろん、帰郷できない気まずさから電話すらできなかった。今になって深く後悔しているんです。

 だから、人生の後輩ともいえる社員たちには、親や自分を支えてくれた人たちを大切にしてほしいという気持ちは人一倍強いんです。1万円の補助で十分な親孝行ができるとは思っていません。でも、せめてきっかけになればと、「私のような後悔は決してしないで」という思いで渡しています。