格安と話題のLCC。お得というメリットだけではなく、デメリットはないのだろうか? 「安かろう、悪かろう」と思い込まず、正しく知って賢くお得に利用したいもの。さっそく旅行作家の吉田友和さんに、詳しく教えていただこう。

LCCは遅延や欠航が多い?

 LCCを利用した人の感想は、両極端なものになりがちなのだという。満足した人がいる一方で、最悪だったという人もいる。なぜだろうかと考えると、思い当たる節がある。

 LCCは価格が安い一方で、妥協すべき部分も多い。中でもよくやり玉に挙がるのが遅延や欠航の多さだ。僕自身これまで数え切れないほどLCCに乗っているが、飛行機が遅延することは珍しくないという実感がある。

 感覚的な話だけだと説得力に欠けるので、念のため数字も提示してみたい。次の表は国土交通省が発表した最新の調査データから、各航空会社の遅延率と欠航率を抜き出したものである。

航空会社の遅延率・欠航率(2016年4~6月調査/単位は%)
航空会社の遅延率・欠航率(2016年4~6月調査/単位は%)

 航空会社によって就航路線が異なるため、厳密な比較はできないものの、参考にはなるだろう。これを見ると、実際にはLCCといっても航空会社によってさまざまだということが分かる。

 ここで注目すべきは、かっこ内に併記した数字である。これは遅延率のうち、「機材繰り(航空機の機材をやりくりすること)」を理由としたもので、LCC各社がJALやANAといったレガシーキャリアよりも約2倍という数字になっている現状が示されている。

早朝や夜間に発着する便が多いのもLCCの特徴だ 写真/吉田友和
早朝や夜間に発着する便が多いのもLCCの特徴だ 写真/吉田友和

 LCCでは、効率化を図るために限られた機材数で運航している。同じ飛行機を一日のうちに何度も活用する。目的地へ到着したら、そのまま新しい客を乗せて、すぐに次の目的地へと飛び立つ(必ずしも同じルートを往復しているわけではない)。

 過密スケジュールであるが故に、どこかで遅延が生じると後の便もずるずると遅れてしまう。機材繰りが理由で遅延することが多いという調査結果からは、LCCのそんな切羽詰まった実情もうかがえるのだ。

 個人的には多少遅れるのは覚悟の上で利用しているが、それでも本当に遅れるとやはり困ってしまう。特に注意すべきは夜の便である。