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アスクルで大規模火災 その時、社員はどう行動した?(3/4)

2018年4月17日

大災害で得た学びから新たな価値が生まれた――アスクル岩田社長

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――そういう精神は、どうやったら根付くものでしょうか。

岩田:アスクルを作ったとき、「お客様のために進化する」という理念を掲げて、お客様への思いを私が10行くらい書いたんですね。その中に「お客様のためにベストを尽くしているか」というのがあって、やれることはなんでもやろうということをずっと言い続けています。

 「お客様のため」と言っても、時間が経つにつれて形骸化するものですよね。とくにeコマースは、ともすると勝手に動いているかのようになってしまう。

 三芳の火災では全体のおよそ22%の出荷が停止しました。当社はBtoBのアスクルとBtoCのロハコという事業がありますが、まずはビジネスの生命線であるアスクルの復旧を優先しようと決めました。そのためロハコの荷物は注文から12日後に出荷するような形になってしまったのですが、それにもかかわらず注文をいただいたんです。それでみんないてもたってもいられなくなり、1カ月にわたってほぼ全社員が平均6、7回、のべ4300人が物流センターに入って出荷作業を行いました。

――なぜアスクルでは「お客様のため」が形骸化しないのでしょう。

岩田:「3.11」のような震災や設備の故障など、トラブルを乗り越えてベストを尽くすという局面は定期的に起こるんです。そのたびにみんなが行くということが伝承されていく。中途採用が中心の会社ですから、入社の際もそういう精神に賛同してくれるかどうかを問いかけています。大企業を辞めて、「メイフラワー号に乗るか」と。

 新大陸を目指す船に乗り込み、もし水が漏れていたらそれに気付くだけではなく、自ら水を手で押さえ、仲間を呼んでかきだせるような人でないとダメ。そういう話をして新しい人を誘い、コアの文化を作ってきました。

 また、創業以来行っている毎週月曜の30分間の朝礼の中でも、15分程度ですが、私が社員に直接語りかけています。内容を考えるのも結構大変ですよ。絵空事や形だけの話では、「何でわざわざこんな時間を取られるんだ」となる。「本気で社員と共有したいこと」を自分に問いかけてから、いつも朝礼に臨んでいます。

――働き方改革では、働きやすさとともに社員の働きがいが重要なテーマの一つです。アスクルの社員は「お客様のため」ということに誇りをもち、それが困難な局面を乗り越えることでより高まっているということでしょうか。

岩田:そうですね。また、最近、本社の向かいにオフィスをもう一カ所借りて「フューチャープラットフォームアーキテクチャ」という組織を立ち上げました。物流とテクノロジーを合体して、もう一段ロジスティクスの力を強化していくことが狙いです。250人くらいが引っ越していったばかりなのですが、まだフロアには何もないんですよ。キャンプ用の大きなテントが2基張ってあってその中でミーティングしたり、アウトドア用のイスに座ってひとりアイデアを練ったり。未来への前線基地をゼロからみんなで作っている最中です。組織が硬直しないようにシャッフルし、社員の開拓者精神を奮い起こしてエネルギーと鮮度を保つのが社長の仕事だと思っています。

物流センターではスタッフに食事を無償提供、定着率が向上

――物流センターの食堂で食事を無償提供されていると伺いました。

岩田:2015年から福岡のセンターで、16年から横浜のセンターで始めました。

 私は物流センターのスタッフももっと稼げるようにしたいですし、正社員化も1000人単位で進めています。そうした雇用の安定を考える中で、最初にやるのは何がいいかと考え、食事の無償化を決めました。周囲は「それより時給を上げたほうがいいのでは」と反対しましたが、私はきちんとした食事によって健全な精神が生まれると思っているんです。

 福岡では長年栄養士を養成してきた学校法人「中村学園」の教授に指導してもらい、一汁三菜の食事を提供しています。産業医の先生に、食事の無償化をする前と後でデータ分析をしていただいたところ、福岡は全センターの中で一番生産性が高くて定着率も高いことが分かっています。新しい大阪のセンターでも食事を無償提供する予定で、求人の応募倍率が高くなっているようです。

 当社は現場で働く多くの人たちと本社で戦略を練る人たちという、ある意味で二層構造になっています。現場で働く人たちをいかにハッピーにするかが大事であり、我々の責任だと思っています。

「ASKUL Logi PARK 福岡」の食堂では、一汁三菜の食事(右)が無償提供される

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Profile
麓幸子
麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP総研フェロー。1984年筑波大学卒業、同年日経BP入社。88年日経ウーマンの創刊メンバー。2006年日経ウーマン編集長。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁などの有識者委員を歴任。筑波大学非常勤講師。著書は「女性活躍の教科書」「仕事も私生活もなぜかうまくいく女性の習慣」など。
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