仕事にプライベートに忙しい日々が続くと、ついつい後回しにしてしまうのが心身のケア。特にお口は、「虫歯がなければ大丈夫」「痛くないから治すものは何もない」などと思って、定期検診を後回しにしていませんか? しかし、厚生労働省の調査によると、30代の約8割が歯周病といわれています(2011年歯科疾患実態調査)。歯周病の実態とケア方法について、ライオンのオーラルケアセミナーで教えていただきました。

30代は約8割が歯周病!

 歯周病というと「何となく歯茎の病気」という認識ですよね。歯周病とは歯肉炎・歯周炎の総称で、感染症の一種。歯茎の歯周ポケットで歯周病菌が増殖することで引き起こされ、重度になると「歯がぐらつく」「口臭がひどくなる」「最終的には歯を失う」といった症状が起こります。また、歯周病によって、さまざまな「病気のリスク」が出てくるという報告もあります。

 そして、何より怖いのは歯周病が「Silent disease」として、静かに、知らない間に進行してしまう病気だということです。

歯や歯茎が健康であるかどうか、きちんとチェックしていますか (C) PIXTA
歯や歯茎が健康であるかどうか、きちんとチェックしていますか (C) PIXTA

 「しかし、歯周病の実態と意識には大きなギャップがあるんです」と話すのはライオン オーラルケア事業部 ブランドマネジャーの大塩繁生さん。

 「体の免疫機能は20歳前後がピークで、年齢とともに低下します。30代以降は感染症にかかるリスクが高まるとされており、30代の約8割が歯周病にかかっているといわれています。しかし、当社調べでは、歯周病の自覚がある人は約3割にすぎませんでした」(大塩さん)

口のトラブルは30代女性の「隠れ不調」

 ただ、30代といえば少しずつ、体の変化や不調を感じる年代でもあります。ライオンが2014年に15~79歳の女性4300人を対象に「気になる症状」「症状への対処法」「日常習慣」について調査をしたところ、30代は各年代に比べて「太りやすくなった」「肩・首の凝り、痛み」「骨盤の歪み」「手足や腰の冷え」などと体の不調を訴える人が多く、「不調のデパート」といっても過言ではありませんでした。

 しかし、「歯周病」「歯茎の腫れ・出血」「歯に物が挟まりやすい」といった口のトラブルに関して自覚している人は少なく、他の目立つ症状に埋もれていました。

 実際に「歯周病への対処法」を尋ねてみると、「定期的に歯科検診を受ける」人も28%いたものの、「症状が出たときに歯科を受診する」人は20%、「対処していない」人も23%と、実質的には「何も対処していない」人が約半数となり、まさに「自覚症状がない」「ケアしない」の「ダブルパンチ状態」です。

「歯周病」への対処法(歯周病の症状が気になる30代、n=377、単一回答)
「歯周病」への対処法(歯周病の症状が気になる30代、n=377、単一回答)
症状が出たときに受診する人(=症状が出なければ受診しない)、対処していない人を合わせると約半数

 ライオン 快適生活研究所 ヘルスケアマイスターの芳賀理佳さんは、その原因を次のように語ります。

 「30代の女性は仕事のキャリアアップはもちろん、結婚に出産、育児とライフイベントが目白押しで、とても忙しい時期です。そんな中で自覚症状のない歯周病は『隠れ不調』となってしまい、さらに何も対処していないために悪化しがちです」(芳賀さん)

 では、実際に歯周病を防ぐためには、どんなケアをすればよいのでしょうか。