「女性の歯茎の危機」は人生に3度訪れる
「女性は女性ホルモンの変化によって口腔内の環境が変化しやすいため、特に気を付けてほしい」――ライオン歯科衛生研究所 東京デンタルクリニック歯科衛生士の政井美南海さんはそう訴えます。
歯周病と女性ホルモンには、どんな関係性があるのでしょうか。
「歯周病菌の中には女性ホルモンを栄養源として増える菌も存在します。また、思春期は勉強や部活動に忙しく、生活習慣の乱れによって免疫が低下しがち。妊娠・出産期は急激な女性ホルモン増加、子育てに忙しく、自分が歯磨きする時間もないといった事態も考えられます。更年期には女性ホルモンの減少、骨粗しょう症といった症状が歯にも影響を与えます」(政井さん)
女性は思春期、妊娠・出産期、更年期と生涯を通じて、女性ホルモンと関わっていますが、そこに歯周病が加わるとは……。
思春期 | 女性ホルモンがつくられ始める |
生活習慣の乱れによる免疫低下 | |
妊娠・出産期 | 急激な女性ホルモンの増加 |
つわりによる食生活の乱れ | |
口内環境の悪化 | |
更年期 | 女性ホルモンの減少 |
骨密度の低下による骨粗しょう症 | |
唾液減少によるドライマウス |
政井さんは「『女性の歯茎の危機は人生に3度訪れる』と意識して、ケアを怠らないようにしましょう」と説明します。どのようなケアをすればよいのでしょうか。
「セルフケア」と「プロケア」の両方で歯周病対策
歯周病ケアには歯みがきなどの「セルフケア」と、歯周ポケットの測定や歯石の除去など歯科医院による「プロケア」の両方を取り入れるのが効果的です。
「歯磨きはゴシゴシ力任せに磨くのではなく、『歯と歯茎の境目』を意識して磨くのがポイントです。毛先が細い歯ブラシを選ぶと、歯周ポケットの中のプラーク(歯垢)を取り除きやすくなります。歯と歯茎に対して歯ブラシの毛先を約45度の角度で当て、小刻みに動かしましょう」(政井さん)
歯ブラシが届きにくい奥歯や歯並びが悪い場所は、普通の歯ブラシに加え、ピンポイントで毛先が届く「タフトブラシ」を使うのがオススメ。磨き残しが出やすい場所もしっかりとケアすることができます。
ライオンでは4月18日(良い歯の日)に、30代からの「歯周病セルフケア」を提案する「システマシリーズ」をリニューアル。歯周ポケットに超極細毛が届く「システマハブラシ」が奥歯の歯周ポケットにも届きやすい薄型ヘッドに改良して新発売します。同時に「システマデンタルタフト 歯周ポケット集中ケア」を新発売するそうです。
「歯周病には『3S』の特徴があります。『Social disease(成人の80%以上がかかっている国民病)』で、『Silent disease(静かに、気が付かないうちに進行)』するものの、『Self controllable disease(セルフケアとプロケアで予防・改善ができる)』症状です。もしも今、不調は感じていなくとも、しっかりとセルフケア、プロケアに取り組んで予防・改善を心がけてください」(政井さん)
人生100年時代において自分の歯を失うと、食べる楽しみも、生きる喜びも半減してしまいそうです。まず、特に自覚症状がなくても、一度は歯科検診を受けましょう。そしてセルフケア、プロケアを継続したいものですね。
文/三浦香代子 イメージ写真/PIXTA 商品写真/スタジオキャスパー
編集履歴:本文一部を修正しました(2018年3月1日)