其の三、「擬音は3回」

 擬音は3回。これ、鉄則です。擬音は効果的に使うと臨場感が増します。それも2回でなく、3回というのが重要。

 例えば、こんな具合です。

 「(ゆったりと静かな口調で)夜中に人通りの少ない道を歩いていて。トンネルに入ったら後ろから、コツン、コツン、コツン……と変な足音が聞こえてきました」

 「コツン、コツン、コツン……」と言う間、そのゆったりした「間」を恐れてはいけません。

 話し方に自信がない人は、「コツン、コツン」と2回で止めたり、ためずに早口で言ってしまったりする。そこを3回、「コツン……、コツン……(1回目より間を空ける)、コツン……」とじっくり続けると、聞く人は、まるで足音が迫ってきているような、ゾゾゾ~とした気持ちになるんです。

其の四、「会話を多くする」

 話を伝える際は、「会話」を使ってけん引します。

 例えば、怖いトンネルについての話をするとします。

 「『呪われたトンネル』と呼ばれるトンネルがあって。その中にいる間はいいのだけれど、歩いてトンネルの外に出ようとするときに呪われるといわれているんです。試しに行ってみようとなり行って歩いて、出てみたんですね」

 これは解説的に話していますよね。でも、「会話」を効果的に使うとどうなるか。

(男二人がトンネルの中を歩きながら、会話しているように一人二役します)

 「このトンネルって、中にいるときはいいけど、そのまま出ちゃうとヤバいんだよな?」
 「そうだよな。もう出口に来たけどどうする?」
 「……行くしかないでしょう?」
 「行く? 行く? じゃあ、行く?」
 「せーの!」

 同じ情報でも会話調で聞くほうが、自分もその場にいるような気分になりますよね。

 この「入りは小さく」「状況描写をできるだけ細かく」「擬音は3回」「会話を多くする」の4つが、「島田の怪談四カ条」。実際に僕が話をして、お客さんの反応がいいとき、話している自分もノッているときの経験から体系立てました。

 この四カ条を意識すると、例えば、家に帰ったらエアコンが壊れていたというような、何でもない話すら「怪談」になるので不思議です(笑)。「話を聞かせたい相手の頭に、自分の描く内容と同じイメージをつくる」という意味では、どんな話をするときでも共通して活用できるので、取り入れてみてくださいね。

 怪談といえば……、この7月から「単独怪談ツアー『島田秀平のお怪談巡り』をやります! 全国5カ所で、えりすぐりの「恐怖怪談」をお届けしますので、遊びに来てもらえるとうれしいです。今回お伝えした僕の企業秘密、『島田の怪談四カ条』のノウハウも、実際のトークで体感してもらえると思います。

【手相お守り/ガラスのハート線、気にし過ぎ線、ストレス線、シワシワ線】
今回は、どちらかというとネガティブな特性だけど、知っておくとちょっと気が楽になる、対処することもできるというコミュニケーションの線を紹介します。

感情線全体が鎖状にアミアミになっているのは、「ガラスのハート線」です。神経質ですぐに傷ついてしまうところがあります。感情線から下向きに細かい線が出ているのは、「気にし過ぎ線(ストーカー線)」。人間不信ぎみで、褒められてもその裏を勘ぐってしまうようなタイプです。単に「頑張れよ~」と言ってもらっただけなのに、ああ、私頑張ってないんだ……」と深読みしちゃうとか(笑)。この線が入っている日本人は多いです。

「ストレス線」というのもあります。中指の下に縦のシワが入っている線。心労がたまりやすい状態です。手のひらに全体的にシワが多いのは、「シワシワ線」。手相の線の数は、心のアンテナの数に比例するといわれていますから、シワの多い人は感受性が豊か。細かい部分に気が付くし気配り上手な反面、人が気にしないことも気にし過ぎて、精神的に疲れやすいかもしれません。もし、紹介したこれらの線がある人は、落ち込んだりへこんだりしたときに、「私はこういう線が入ってるから、まー仕方ないな。よし、とことん落ち込んだら気持ちを切り替えよう」と意識を上向きにするきっかけに活用してもらえるとうれしいです。

聞き手・文/平山ゆりの 写真/小野さやか、PIXTA