「結婚」を経済学で考えてみる

 この連載の初回でも書きましたが、経済学は、有限な資源(人、もの、時間…)をどのように配置すれば私たちが更に幸せになるかを研究するための学問です。

 例えば、結婚は(さまざまな定義はありますが)、お互いへの愛はもちろん、お互いに足りないところ(得意分野、不得意分野、性格など…)を補うあうことで、現実社会を一緒に歩んでいこうというものだと思います。お互いの資源をどう補完しあい、どのように意思決定すべきかを考えるのに、経済学の考えは非常に有効なのです。1992年にノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学のゲイリー・ベッカー教授も、比較優位(過去の連載参照)という考え方を利用して結婚に関する論文を残しています。

 日本では、この分野では一橋大学の北村行伸博士が非常に有名です。彼は「結婚の経済学」というサーベイ論文で、最適なパートナーを、最短で見つけるためのヒントをゲーム理論という考え方を応用して記しています。

■「結婚の経済学」 北村行伸

 北村博士が記した、最適なパートナーを最短で見つける方法とは一体どんな方法でしょうか。