見極める方法は?

 では、簡単にその兆候を見極める方法はないのでしょうか。

どうやって見極める?(C)PIXTA
どうやって見極める?(C)PIXTA

 オススメは、『日経会社情報』や『会社四季報』などを数年に渡ってチェックすることです。上場企業のみですが、業績がコンパクトに掲載されています。

 例えば、その会社の売上高がプラスが続いているのに、営業キャッシュフロー(営業CF。本業でちゃんと現金が回収できているかなどを示す一つの指標)のマイナスが続いているような企業を見つけたら黄色信号かもしれません。

 そのような企業は、大体2つのパターンに分けられます。1つ目は、新しいビジネスを育ててきて芽が出つつあるものの、ビジネスモデルが大きく変化したことで現金の回収スピードが変化したような会社です。その場合は、前向きな投資をしてきたことが成果になっているわけですし、更に成長する可能性を持っていると考えられます。

 要注意なのは、2つ目です。上述したように、とにかく黒字をつくりたいために見せかけの売上高をつくろうと頑張っているかもしれません。しかし、この2つの違いを公表データだけで見抜くのは、プロでも至難の業。なにか兆候を知る方法はないのか…。そんなとき、私は周囲の働き女子に以下のようなことを呼びかけています。

 売上高はプラスだけど、営業CFのマイナスが続いているような会社を見つけたときは、その会社で働いている人に、会社の雰囲気が急に悪くなったり、またはコロコロと方針が変わって社員の士気が落ちたりしていないかを聞いてみて!というものです。

 「危険」な会社ほど、社長の精神状態も危機的な状況にあり、方針が右往左往することがあります。また、そのとばっちりが現場の社員の様子に現れることも。一方で1つ目のパターンの会社の場合はベンチャーなどが多く、会社の雰囲気はよく、元気があります。

 これを機に、「難しい」と思っていた会社の数字にも興味を持って見てみてはいかがでしょうか。その裏側にある会社の雰囲気などを類推してみると、これまでと違った会社選びができるかもしれませんね。

文/崔真淑 写真/PIXTA

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