先日、ビジネス界で激震が走ったニュースがあります。それは、ソフトバンクがイギリスの半導体企業を買収したということ。もちろん、企業が企業を買うというのは珍しい話ではありません。今回、驚愕だったのはその買収金額。なんと、3兆3000億円という莫大な金額で、これは日本企業の買収金額では過去最高。私たちにはあまりにも金額が大き過ぎて、想像がつきませんね。

 ちなみに、1兆円を積み上げると約1万メートル(富士山3個分より高い!)になるそうです。そんな超大型企業買収に、なぜ、ソフトバンクの孫社長は踏み切ったのでしょうか。その理由を探ると、私たち働く女性の未来にも影響する、とても重要な「社会変化」が見えてくるのです。

今、話題の「シンギュラリティ」って知ってる?

 孫社長はこの企業買収に関する記者会見で、ある言葉を何度も強調しました。それは「シンギュラリティ」です。日本語では「技術的特異点」と訳され、人工知能が人間を超える日という意味で使われます。

 人工知能にはいろんな種類があり、最近では自分たちで学習する能力をどんどん高め、創造性を備えたものも出てきています。例えば、あなたの生活習慣や好みなどを考慮して新しいレシピを考えてくれる人工知能も出てきています(ちなみにこれはIBMのワトソン)。

 しかも、人工知能は、自らさらに発達した人工知能を考案できるところまで近づいています。これを繰り返すことで、あと30年後の2045年には、人工知能が人間を超える「シンギュラリティ」が起きるといわれています。

30年後には人工知能が人間を超える「シンギュラリティ」が起きる (C)PIXTA
30年後には人工知能が人間を超える「シンギュラリティ」が起きる (C)PIXTA

 そのときには、技術開発と進化の主役が人間から人工知能に移ってしまうかもしれません。そんな未来を予測して、孫社長はイギリスの半導体企業を買収する決断をしたようです。

「シンギュラリティ」で10年後になくなる仕事とは?

 なんだかSF小説のような話ですが、“大まじめに”「シンギュラリティ」で何が起きるかが研究されています。2015年には総務省で研究会が発足されました。研究会の資料を見ると、2020年には車の自動運転が本格的に稼働、2025年に翻訳サービスの代替、2030年にはホワイトカラーの秘書業務などが代替されていく未来が描かれています。

 つまり、人間が行っている仕事が人工知能に奪われていくのです。なんだか怖い話。定年まで働きたいという女性も多い中、自分の仕事がなくなったらどうしよう……と不安になる人もいるのではないでしょうか。

 これについて、ある論文が話題になりました。Benedikt博士とOsborne博士の共著論文「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOWSUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」です。

 この論文には、将来、人工知能に代替されにくい仕事について書かれています。