締め切り厳守……この言葉を聞くとドキッとする人も少なくないのではないでしょうか。今まさに締め切りと闘っている人もいるかもしれませんね。私は、読者のみなさんや編集者などさまざまな方に支えていただきながら、連載やレギュラー番組の仕事をすることができています。1カ月間に来る締め切りの数は月に20 回。しかしその度に締め切りに追われて、編集者の方々や、仕事関係者にご迷惑をおかけすることも多々……。

 今回は、私のこうした反省を踏まえて、締め切りに追われないためには、どうしたらよいかについて学術研究から考えていきたいと思います。

時間があればもっと早く終わったのだろうか?

 私は今年の3月まで大学院に在籍し、論文を書く作業に励んでいました。当時、恩師にかけられた言葉で「なるほど~!」と思ったことがあります。それは、「論文は、締め切りが無いと絶対に書き上げられない!」ということ。

 確かに、締め切りがあるから頑張れるし、お尻に火が付いて作業に取り掛かれるもの。これは、あらゆる仕事の現場でも同じですよね。でも、締め切りに追われる度に、こう、思ったことはありませんか?

 「どうしていつも、締め切りギリギリになるんだろう。時間があればもっと早くできたのだろうか……」

どうしていつも、締切ギリギリになるんだろう。時間があればもっと早くできたのだろうか……
どうしていつも、締切ギリギリになるんだろう。時間があればもっと早くできたのだろうか……

 もう何百回も、心の中でこうつぶやいたか分かりません(涙)。この私の悩みを解決するヒントになりそうなのが、ネット上で一時期話題になった、独立行政法人 産業技術総合研究所 松尾豊氏の「なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか」という研究報告です。

 松尾氏の研究では、「寝てしまっても締め切りに影響がない日数」を「ネルー」という単位で表し、締め切り当日に仕事を達成していない状態は0ネルーとしています。タスクを効率的に達成するために、このネルー値をどう上げればよいのか、また、どのように集中すればよいかについて、数学式を用いて考察しています。
締め切りに追われないための方法とはどんなものでしょうか。