お金があるのに幸せじゃない なぜ?

 カーネマン教授は、これを女性にフォーカスした分析を行っています。アメリカの1000人の女性を対象に、U指数という幸福度を押し下げるだろう不快度合を計測しています。U指数とは「不快(unpleasent)」「好ましくないもの(undesirable)」の頭文字をとったもので、不快な心理状態で過ごしている時間の割合を示します。

 さて、女性たちのU指数=不快指数が高かったのは、「朝の通勤時間」という結果でした。

 通勤は、平均的な人の一日のうちで群を抜いて最も不快になる時間という結果だったのです。通勤時間が一日あたり20分長くなることが幸福度に与えるダメージは、失業に与えるダメージの5分の1と彼らは計測しています。そして、こうしたダメージを収入が上がることで得られる素敵な家に住めることや、子どものために良い学校の近くに住むことによるメリットによって相殺できることは無いともしています…。

 年収を高くしようとすることや、それに向かって努力するのも大切なことです。でも、そのために何を犠牲にしているのか、そしてお金を稼いでも埋められないデメリットも存在することを再認識して、キャリアを作っていきたいですね。

 でもね。以前、ある大物経営者の方が「お金で愛は買えないけど、お金で愛は育つんだよ~」と仰ってたんですよね。お金が原因で、仕事もプライベートももめることがあるのは事実。収入アップも、それなりに頑張っていきたいですよね。

文/崔真淑 写真/PIXTA

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