投資の方法を比べてみた

 ちょっと想像してみてください。私と読者の皆さんが、それぞれ10万円を持って、同じ時期から、同じ投資信託に投資をするとします。そのときに、私は「今が買いどきだ!」と思って、10万円全額を「一括投資」しました。

 それに対して皆さんは、「将来の値動きがどうなるか分からないから、毎月1万円ずつ投資をして、10カ月後に10万円を使い切るように投資をしよう」と考えて、「コツコツ投資」を行いました。

 さて、実際に投資をしたときの値段と、10カ月後の残高が次の表です。

 皆さんは、コツコツ投資で毎月1万円ずつ買っていくわけなので、1月に投資信託の値段が1万円だとすると、投資信託が1個買えます。8月に6000円まで値下がったときは、積立額1万円で1.7個の投資信託を買うことができます。同じ1万円でも、値段が下がったときの方がたくさん買えることが分かりますね。

 そう、金融商品も一つの「モノ」なので、同じ金額を払うとしても、値段が下がったときには、よりたくさんのモノを買うことができるのです。これが先ほどの「今は、仕入れどき! かき入れどき!安く買えてよかった!」ということですね。

 こうしたコツコツ投資の効果は、10カ月後に出てきます。

 毎月1万円ずつコツコツ投資しているわけですから、10カ月後の皆さんの手元には、全部で投資信託が13.2個あります。10月のこの投資信託の時価は、8000円ですから、1個8000円×13.2個は10万5600円、これが皆さんの資産です。

 コツコツ積立に投資した金額は、10万円でしたから、投資信託そのものの値段は値下がりしていますが、皆さんの資産は増えていますね。

 一方、一括投資をした私はどうでしょうか。

 投資信託が1万円のときに一気に10万円を使って、10個の投資信託を買いました。すると、現在は8000円ですから、1個8000円×10個となり、資産は8万円です。つまり、買ったときから値下がりしているので、2万円の損となり、あとはもう、値段が元に戻るのを待つしかないのです。

 同じとき、同じ商品、同じ総額で投資したのに、私はマイナス、皆さんはプラスです。この違いはなぜ起こったのでしょう。