実際、年末調整でどう書くの?

 年末調整の際、会社から「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」と「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の2枚の書類を受け取ると思います。

 そのうち「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」を、iDeCoの申告で使います。「控除」とは差し引くという意味なので、この書類で自己申告したものが税金を計算する際に差し引かれ、税額が決まります。この書類の右下の「小規模企業共済等掛金控除」の欄にiDeCoを記入するのです。

iDeCoを記入するのは、右下の「小規模企業共済等掛金控除」のところ
iDeCoを記入するのは、右下の「小規模企業共済等掛金控除」のところ

 具体的には、「個人型及び企業型年金加入者掛金」の「あなたが本年中に支払った掛金の金額」とその合計額を記入します。その金額のモトとなるのは、国民年金基金連合会から届くはがきを開いた中に書いてある数字です。

 圧着はがきを開いた右側には「小規模企業共済等掛金払込証明書 確定拠出年金(個人型年金)」と書いています。このまま年末までその掛金を積み立てるのなら「本年9月までに払い込まれた金額」と「10~12月に払い込まれる予定額」を足した「合計金額」を書きます。下の写真の例では、右ページの一番下に書いてある「27万6000円」を書類に記入するわけです。

27万6000円を書類に記入して
27万6000円を書類に記入して

 記入した後は、このはがきを添付して会社に提出すると、それで手続き完了です。この申告をモトに所得税が計算され、翌年の住民税は自動的にこの控除を考慮して、減額された住民税額が決まりますよ。

学生時代の国民年金保険料を追納した場合も年末調整

 以前、「学生時代の未納にドキッ! 追納できたら年金増、税金減」でお知らせしましたが、学生時代の国民年金保険料の払い込みに学生納付特例を利用していて、そこから10年以内であれば追納することができます。


 追納した国民年金保険料も、社会保険料控除として年末調整で申告することができます。

 日本年金機構からの「社会保険料 控除証明書」は11月に届きます(10月以降にその年初めて納付した場合は翌年2月)。追納した証明書が届けば、それを「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の「社会保険料控除」のところに書いて、会社に提出すると手続きしてもらえますよ。

 iDeCoで使う小規模企業共済等掛金控除も、追納で使う社会保険料控除も、自分が行動しなければ活用することができません。この機会に、身の回りのお金に関わる制度について、興味を持ってみてくださいね。

文/前野 彩 写真/PIXTA