「年に1回は旅行に行きたいな」という曖昧な目標を実現させ、さらにお金のことを気にせずに行きたい旅行に出発できるお金の貯め方でおススメなのは、旅行積立です。(前回記事「お金のことを気にせず行きたい旅行に行ける積立のコツ」)。

 でも、いろんな種類の積立の中で、何が自分に合っているのか、何がお得なのかを比べるのは、なかなか難しいもの。そこで今回は、旅行積立のメリット・デメリットをお伝えするとともに、自分に合うものを見極める方法をお伝えします。お得に使うには、積み立て方にもコツがあります。

積立期間が短いほど利率が高いという不思議 なぜ?

 突然ですが、定期預金の金利を想像してみてください。1年定期預金と5年定期預金なら、どちらの金利が高いと思いますか?

 現在は、マイナス金利情勢下なので、残念ながら1年も5年も同じなのですが、通常は期間が長くなるほど、高い金利になります。住宅ローンの金利も、期間が長くなるほど金利が高くなっていますよね。

 でも、旅行積立の場合、預入期間が短いほど、利率が高い場合があるのです。

旅行積立の特徴を把握して賢くお得に貯めよう (C)PIXTA
旅行積立の特徴を把握して賢くお得に貯めよう (C)PIXTA

 今回、紹介した会社の中(3ページ目)では、ANA、JAL、阪急交通社が「期間が短い方が利率が高い」商品を提供しています。

 たとえば、一括払いと月払いがある阪急交通社の場合、一括払いや6~11カ月の積立は2.5%と一番金利が高く、12~23カ月が2%、24~60カ月が1.8%と、払込回数(積立期間)が伸びるにつれて、利率が低くなっています。定期預金の考え方からすると、不思議ですよね。

 実は、旅行会社はいくら積立金が会社に入ってきても、実際に私たちが旅行に行って旅行券を使わない限り、利益にはつながりません。わかりやすく言うと、細く長く60カ月積立ててやっと旅行に行ってもらうよりも、短期間に積み立てて、パッと旅行に行ってくれる方がうれしいのです。そこで、「期間が短い方が利率が高い」という不思議な現象が起こることがあるのです。

 積立期間6カ月が一番お得に作られているウラには、こんなビジネスの仕組みがあるのですね。

 この流れを知って旅行計画を立てると、よりお得に旅行積立を活用することができます。

旅行積立のデメリットは3つ

 さて、今まで旅行積立のメリットをお伝えしましたが、デメリットは何でしょう? 主に3つあります。

 1つ目のデメリットは、途中解約する場合の返金額です。途中で解約しても現金は戻ってこず、旅行券などで積立金額相当分を受け取ります。さらに、端数切り捨てで旅行券返金の会社も多いので、そうなると、元本割れの可能性があります。途中解約しなくてよい積立額を決めてから行うことが大切です。

 2つ目は、積み立てている会社の破たんによる返戻金がないことです。破たんした場合は、全額戻ってこない可能性があります。ただ、みなさんの記憶にもあるJALの破たん。このときは、旅行積立は全額保護されたのが実情です。

 3つ目は、期限が決まっていることです。普通預金に比べると、お得度が高い旅行積立ですが、あくまでも目的は旅行です。旅行の予算よりも少なめにして、確実に使うであろう金額を積み立てるのがコツですよ。また、旅行会社によっては使用期限が決まっていますので、多額の積み立てをする場合は、期限にも気を付けてくださいね。