誰も教えてくれなかった金利のルール

 次は、C銀行とD銀行の満期時に受け取る利息で比べてみましょう。

・C銀行の1年定期預金は、0.5%の金利です。
・D銀行の3カ月定期預金は、2%の金利です。

 数字で見ると、D銀行のほうがC銀行の4倍の金利が付いていて、オトクです。

 でも、ここに登場するのが金利の暗黙のルールなのです。

 実は、金利には1年間ルールがあります。

 1年間、つまり12カ月を基準として考えるため、C銀行の1年定期預金の金利は0.5%ですが、D銀行は3カ月定期預金ですから、12カ月のうち3カ月しか預けないのなら、受け取る利息は12カ月の3カ月分となり、実質0.5%になります。3カ月間で2%の利息が受け取れるわけではないのです。

 もしも100万円を預金した場合の満期時の利息(税引前)を比べると、C銀行は1年後に5000円を受け取ることができます。それに対して、D銀行は12カ月預けるのなら2万円ですが、実際は3カ月定期のため、12カ月分の3カ月となり、受け取る利息は5000円です。

 「それなら、3カ月定期預金の満期が来てもあと3回連続で預けて2%分の金利をもらえばいいじゃない」と思う方がいるかもしれませんが、そうはいきません。キャンペーン定期預金の満期が来た後は、定期預金そのものは自動継続ですが、金利はキャンペーン金利ではなく、店頭金利が適用されるため、金利は一気に下がるのです。

金利のしくみをわかったうえで選択しよう (C) PIXTA
金利のしくみをわかったうえで選択しよう (C) PIXTA

 金利のしくみを理解していただいた上で退職金キャンペーンを検索すると、高い金利の多くは1カ月や3カ月です。短期間で多くの利息が受け取れるわけではないので、期待のし過ぎには注意してくださいね。

<退職金キャンペーンの例>
期間 金利 条件等
A銀行 1カ月 2.5% 300万円以上・店頭のみ
B銀行 3カ月 1.0% 300万円以上・店頭のみ
C銀行 3カ月 1.7% 100万円以上・店頭のみ

 蛇足ながら、退職金の金利上乗せタイプは、利用方法を「店頭」に限る金融機関も少なくありません。そこには、会って話をすることで他の投資商品を提案したいという金融機関の期待があります。退職金というまとまった金額を受け取ることで、気持ちが大きくなり、準備運動もせずいきなり投資の世界に高飛び込みすることがないように、冷静に対応してくださいね。

 退職金やボーナスなどの定期預金金利の上乗せキャンペーンは、「普通預金よりもオトクな金利がつく一時的なお金の置き場」と思って活用しましょう。

 次回は、定期預金と投資信託のセットのキャンペーンについてお伝えいたします。

文/前野彩 写真/PIXTA

お金を賢く使う他のノウハウを読みたい人は、下記ページをチェック! この連載は、毎週月曜日に公開しています。新しい記事は下記一覧ページで更新されますのでブックマークしてお楽しみください!
記事一覧ページはこちら ⇒ 【前野彩のお金と賢く生きてゆく!】